子どもを妊娠中の女性が、妊婦であるがゆえに医療機関の外来を受診した際、金額の自己負担が増える「妊婦加算」問題に、疑問の声が広がっている。

自民党の小泉進次郎厚労部会長は4日、党本部で開いた合同会議で、妊婦加算の問題点を協議し、会合後の取材に、「社会全体で子ども、子育てを支えていかないといけないという政治の大きなメッセージと、妊婦さんが自己負担をしなければならないというのは、逆行しているのではないか」と、指摘した。

コンタクトレンズの処方で、妊婦加算による自己負担が発生したケースを引き合いに「これはおかしい。こういうことが起きないよう、厚労省は対応するということだったが、それで十分かといえば、不十分だと思う。国民のみなさんにどういうメッセージとして伝わるか、厚労省にはさらなる対応を促した」と述べ、来週までにさらなる対応を検討するよう指示したと述べた。

会合では、妊婦には配慮のある診察が必要なため、産婦人科以外での外来の(医療的)負担には、一定の理解が示された半面、妊婦に直接負担させることには「少し拙速だった」「当事者意識を持って制度設計をすべきだった」などの声が出された。「妊婦加算」という直接的なネーミングにも、「一考の余地がある」との意見が出たという。

進次郎氏は、「次の診療報酬改訂の時期を待たずに、どこまで深掘りできるか、最大限の努力をしてほしいと厚労省に伝えた」と述べ、早急に対応する意向を示した。「一定のケアが必要な方を診療する医療機関側への配慮は必要というのは分かるが、少子化を克服していくという国のメッセージとして、妊婦さんに自己負担が発生するのは問題ではないかというのは、我々の共通意見だ。今の制度では、運用上おかしいと思われる例が出てしまっているのが事実。国民の皆さんに、間違ったメッセージが伝わっている。それをただすために何ができるか見守りたい」と述べた。

妊婦加算は今年春からスタート。医療機関で妊婦への診療や診察を、医師が丁寧に行う行為への「評価」とされている。自己負担が3割なら、初診で約230円、再診で約110円が加算されるが、ネット上では「事実上の妊娠税では」などの批判が出ている。