20、21日に行われた将棋の第31期竜王戦最終第7局で羽生善治前竜王(48)が防衛に失敗し、27年ぶりの無冠となった。「ひふみん」の愛称で親しまれる加藤一二三(ひふみ)・九段(78)は第一人者の27年ぶりの無冠に「少し寂しい思いがある」と語った。

加藤九段と羽生前竜王との対戦成績は加藤九段の6勝14敗。当初は加藤九段が白星を先行させていたが、逆転され、徐々に引き離された。

その強さを知っているだけに、無冠について「羽生さんの力が衰えたわけではなく、トップ棋士の実力が拮抗(きっこう)する群雄割拠の時代に突入したということ」と分析した。

「神武以来の天才」と呼ばれた加藤九段の棋士生活は、昨年6月の引退まで63年間に及んだ。現役時代にはタイトルは計8期獲得した。「タイトルを失うことはショックだが、自らをレベルアップさせるチャンスでもある」と振り返った。

引退直前には77歳0カ月の最高齢勝利記録を達成した。「羽生さんは48歳。私から見たらまだまだ若い。これからも心身ともにピークになるときがくる。羽生さんは追い込まれれば、追い込まれるほど、本領を発揮するタイプ」と話し、「必ず『羽生復活』はある」とエールを送った。