25日の東京株式市場は、世界経済の鈍化を警戒する売り注文が広がり、日経平均株価は急落。終値は前週末比1010円45銭安の1万9155円74銭となり、2万円を割り込んだ。平均株価の値下がりは5営業日連続で、1年8カ月ぶりの安値をつけた。株安は、暮らしにどんな影響を与えるのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんに聞いた。

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株価なんか関係ないと思っている人もいるかもしれません。でも、投資しないと明るい老後を迎えられない、と投資信託を買ってませんか。確定拠出年金に加入してませんか。年金の株の運用比率は25%もあるんですよ。大きな影響が出る可能性があります。

私はかねて「借金減らして現金増やせ」と言ってきました。一時は好調だった米国経済にかげりがでてきた。中国も欧州もどうなるか分からない。世界の政治、経済がガタガタしている中で投資なんかしては絶対にダメ! なけなしのお金を投資したのに、という人たちの気持ちは痛いほどわかりますが、今後、良くなることはないでしょう。

米国の株式市場はまだ健全です。売り手と買い手の需給のバランスで成り立っているからです。ところが、困ったことに、日本の株式市場は公的資金が買い支えています。これが崩れたらどうなりますか? 日本が最も大きな打撃を受けることになりますよ。自律回復? 無理無理!

先日、「安倍政権は消費税を上げられない」を出版したところですが、株安で消費増税できないことは確実になりました。経済が混乱すればするほど、政権は増税延期のカードが切りやすい。これまで2度も延期していて、私は「やるやる詐欺」と呼んでますが、株安で消費増税は完全になくなったとみています。

安倍政権は、高い株価を背景に、支持を保ってきました。しかし、安倍政権の経済政策はとっくの昔に失敗しています。アベノミクスの1丁目1番地は何でした? デフレ脱却でしょう。政権復帰から6年たっても、いまだ脱却できない。明らかに失敗です。跡形もないと言ってもいい。安倍政権は、ひどい経済政策をしました。日本は今後、大きなツケを払わされることになるでしょう。