国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7000万円をだまし取ったなどとして詐欺と詐欺未遂の罪に問われた学校法人「森友学園」の前理事長籠池泰典(本名・康博)被告(66)と妻諄子(じゅんこ=本名・真美)被告(62)の初公判が6日、大阪地裁(野口卓志裁判長)で開かれた。

両被告は起訴内容の大半について無罪を主張した。法廷でも籠池節は健在で「国策捜査、国策逮捕を絶対許さない」と語気を荒らげ、自作の句まで朗読した。

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大阪地裁で最も大きい201号法廷。紺のスーツ姿に金色を基調にしたネクタイ。午後2時に始まった初公判で、泰典被告は険しい表情で起訴状朗読を聞いた。罪状認否で意見陳述を求められると一転、籠池節をさく裂させた。

「国策捜査、国策逮捕を絶対許さない」。ときおり検察官をにらみつけ、強い口調でまくしたてた。「自分の非は素直に認める」と述べたが、起訴内容の大半について無罪を主張した。保釈まで大阪拘置所で約10カ月の長期勾留を強いられたことについて「人質司法として300日間も国策勾留したのは口封じ」と主張し、「国有地売却の忖度(そんたく)問題の目くらましをしていることを、裁判所もしっかり見てほしい」と訴えた。

延々と続く“籠池劇場”に検察官が「簡潔に」と中断を求める場面もあったが、裁判長らが協議した結果、続行が認められた。意見陳述の最後には背筋を伸ばし、自作の句まで詠み上げた。

「凜(りん)と咲く 日の本(ひのもと)一の 夫婦花(めおとばな)」

10分以上続いた主張を終えると、裁判長に一礼し、弁護人席へ戻った。泰典被告は続いて証言台に向かった諄子被告に視線を投げかけ、心配そうに見入った。諄子被告は「私は無罪です」と訴えた。

検察側は冒頭陳述で、泰典被告は学園の業務全般を総括し、諄子被告は経理担当で預金や帳簿を管理していたと説明。国の補助金は「上限の額が得られるよう設計会社や建設会社と共謀し、虚偽の請負契約書などを作成した」と指摘した。

閉廷後、諄子被告は夫の一句について「グッときた」と感激した様子。安倍政権を揺るがせた森友学園問題で、検察との全面対決。泰典被告は「言うべきことは言いました」と胸を張った。【松浦隆司】