大火災があったパリのノートルダム寺院(大聖堂)修復に向け、支援を申し出る声が仏国内外から相次いでいる。仏メディアによると、寄付総額は8億ユーロ(約1000億円)に達した。

焼け落ちた尖塔(せんとう)に加え、屋根の大部分も崩落した寺院の修復には莫大(ばくだい)な資金を要するとみられ、パリのイダルゴ市長は16日、国際支援を呼び掛けるとともに、市として修復に5000万ユーロ(約62億5000万円)を寄付する考えを示した。高級ブランドグループ「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」(LVMH)と化粧品大手「ロレアル」は、それぞれ2億ユーロ(約250億円)の寄付を表明。仏遺産財団は修復義援金サイトを開設した。

技術面での協力を申し出る国も多い。米英など各国も支援を表明。ロシアやポーランド、イタリアは被害調査や修復支援に当たる技術者を派遣する方針。独メルケル首相も同国の専門知識や経験を修復に役立てたいと話した。

仏マクロン大統領は16日、5年後の24年パリ夏季オリンピック(五輪)開催までに修復を目指す考えを表明し、国民の結束を訴えた。一方、修復に10~15年かかるとの専門家の見方もある。ただ資金が潤沢であれば、期間を一定程度短縮できるとみられる。

鎮火後の寺院内部写真が公開された。上部にぽっかり開いた穴から寺院内に日が差し込む中、山積みの黒こげの木片や破れ落ちた天井などが確認できる。床は長時間の放水で床は水浸し。礼拝時に使うとみられる長いすが、水に漬かったまま並んでいる。