将棋の羽生善治九段(48)が4日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで永瀬拓矢叡王(26)に勝ち、通算勝利数単独トップの1434勝を達成し、故大山康晴十五世名人の最多勝記録を約27年ぶりに更新し、会見を開いた。

質疑応答で「数字の上で大山名人の記録を抜いたが、トータル的なもの見て、自分はどの辺まで来ている?」と質問が飛んだ。羽生九段は「まぁ、10代の時に、大山先生と何局か対局することがあったんですけど、60代の後半ですけどテレビで見た昔の強さと違わないような迫力があった」と大山名人との対局を振り返った。その上で「まぁ私自身はですね、まだまだ…領域と言いますか、そういうところまでは、まだまだ行っていないと思います」と答えた。

そして「何て言うんでしょうかね…どれくらいまで来たかというのは、そういう状態になれば実感できるかもしれないが今のところ手応えはないです」と答えた。

師匠の二上達也九段は、大山名人のライバルと言われた。師匠に思うことは? と聞かれると。羽生九段は「入門したのは11歳の時ですから、かなり昔のことになるんですけれども、当時は、あまり将棋の世界の情報が少なかったということもありますので、奨励会に入るということで、どういう師匠が良いか全く分からなかった」と振り返った。その上で「たまたま、そういう機会、ことがあって師匠の弟子になった。あと…将棋の世界に来てから大分、後になってからですね、これはすごく実は幸運なことだったんではないかと実感しました」と感慨深げに語った。【村上幸将】