8月に運営会社の従業員のストライキが発生して営業がストップした、東北道・佐野サービスエリア(SA=栃木県佐野市)上り線のフードコートと売店が24日午前、通常営業を再開した。

運営会社「ケイセイ・フーズ」のストを起こした労働組合は、スト終了を宣言し、前総務部長の加藤正樹氏と労働組合の代表者でもある井原永治支配人が同日午後、佐野市内で会見を開いた。

加藤氏は会見の中で、17日に経営側から労働組合に対して、仲介人を通じて22日に現場に戻らないかと打診があったことを明かした。

ストを終えた感想を聞かれ「本当にホッとした。自分の職場に対して、いられるだけでうれしいという感覚は以前はなかった。今は、そんな雰囲気で、みんなニコニコしています」と語った。

一方で経営側との交渉は、社員がSAに戻ることを最優先したため、あくまで口答ベースで、書面をかわしていないとした。そのため、岸敏夫社長の退陣と新社長の就任は内定しているものの、細部で確定していない部分があり、会社側とは今後も働きながら折衝を続けていく考えを示した。

また、加藤氏自身の去就や処遇も、いまだ明確には決まっていないという。同氏は、親会社の建設会社に関する信用不安情報がフードコートと売店の取引先業者に露見し、7月25日前後から商品が納入されなくなり、明らかになった資金繰りの悪化を岸社長に追及し、スト発生前日の8月13日午後に解雇された。そのことをきっかけにストが発生すると、加藤氏はSNSを使い、公開質問状をアップするなどして世論やメディアに窮状を訴え続けた。結果、経営側とは「信頼関係も壊れていた状態」(加藤氏)となっていた。

加藤氏は「現場に私が戻ることすら拒絶され、下見のタイミングにも来るなと言われた。もしかしたら戻ることが出来ない可能性もゼロではないと思った」と経営陣との壁が残っていることを示唆した。ただ、この日はSAで業務を行い「(SAに)行ったら一応、仕事を出来る状況になったので今日の段階で仕事はしています」と現状を説明した。

この日、業務に復帰したことに対し、特に経営側からネガティブな反応はなく「排除されていないので、従業員だから戻っているんだと思う」と、あくまで社員としてSAに戻ったという認識を示した。一方で「最終的な細かい条件は恐らくあると思うが、詳細は聞いていない。それ次第で、どういう対応をするか考えなければならない事態になるかもしれない。本来(自らの去就、処遇を)きっちり決めて戻らないといけないかも知れないが、そこは優先しなかった」と語った。

退陣する岸社長の後任の社長とも毎日、話をしているといい「足りないところに人の手当てをしたり、機材など営業をきちんと出来るために、現場を円滑に回すための話をしたい」とした。その上で「今日の段階で、私以上の適任者はいないと思う。人事異動で変わることはあると思うが、私が総務部長でいる方が現場を回すために間違いなく良いと思う」と総務部長への復職を希望した。【村上幸将】