東京・上野の東京文化会館は12日、台風19号の発生を受けて一部公演が中止、延期となった一方で、近隣から避難してくる人や外国人観光客向けの一時滞在施設として開放した。13日午前9時まで開放する予定だ。

関係者によると、この日は、熊川哲也主宰のKバレエカンパニーの公演「マダム・バタフライ」が午後12時半、同4時半開演の2回、東京混声合唱団第250回定期演奏会が午後3時から、それぞれ公演予定だった。その中、台風19号が関東に接近し、来場する観客の安全が確保できないという理由で、「マダム・バタフライ」は中止、東京混声合唱団の公演は延期した。

午後からJRをはじめ公共の交通機関が次々、運休となり、東京文化会館の最寄りの上野駅周辺は外国人観光客が多いことから、台東区から一時滞在施設としての開放を要請されたという。受け入れは日本人、外国人問わずに行っており、午後7時段階で、日本人5人が避難、滞在している。

関係者によると、この日は翌13日以降の公演の設営もあるため、1階ロビーを開放し、100人程度が滞在できるスペースがあるという。そこに、エア入りの簡易マットレス、水、クッキーなどが入った簡易の食事などの生活用品をそろえた。数百人が3日間、生活できるだけの備蓄があるという。

上野はJR、東京メトロ日比谷線と銀座線、京成線と複数路線が通っており、JR上野駅の前にある東京文化会館はこれまで、公共の交通機関がストップした際の一時滞在施設として機能してきた。その機能は、大きな地震が起きた際も活用された。ただ、台風の発生を受けて、一時滞在施設として開放したのは初めてだという。関係者は「それだけ、雨や風が強いということでしょう」と説明した。【村上幸将】