ラグビー日本代表や強豪国の代表選手の髪を切る、東京・内神田の理容室「THE BARBA TOKYO(ザ・バルバ・トウキョウ)」で20日、日本対南アフリカ戦のパブリックビューイングが行われた。

4年前の前回イングランド大会後、SO田村優(30)がインスタグラムで同店を知って足を運んだことをきっかけに、フッカー堀江翔太らトップ選手が口コミで通うようになり、親交を深めてきた同店のスタッフは、日本の敗戦に下を向くことなく、拍手を送り健闘をたたえた。

オーナーでスタイリストのTOMさん(37)は、この日が元日本代表主将で監督も務めた平尾誠二さんの命日であることを受けて、平尾さんの追悼試合として16年11月5日に行われたアルゼンチン戦で、田村が実際、着用したジャージーを身にまとい、応援した。同戦は、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(49)の初陣でもあった。

TOMさんは、田村と出会ってから4年、そのおとこ気にほれ込んで付き合ってきた。1年半前からは「売上にはならないけれど、1人でも多く、未来のラグビーファンを増やしたいから、それぞれの選手の格好いい、個性的なヘアスタイルを提案したい」と、日本代表各選手のカットやスタイリングなどを無償で行ってきた。

「THE BARBA TOKYO」には、元クボタのSHだったアンダーソン・ネーサンさんが世話役「リエゾン」を務める、ニュージーランド代表も足を運び、今大会の期間中に全選手の散髪を3回も行ったという。また2日前の18日には、南アフリカ代表のFBチェスリン・コルビと、TOMさんと親交の深いSHハーシェル・ヤンチースが来店していた。TOMさんは「南アフリカには負けましたけども、試合が終わったらノーサイドの精神というのが大事なこと」と強調した。

TOMさんは店のスタッフを集め、敗れた日本の姿から学ぶことが多いことを声を大にして語りかけた。「出会って4年間、ともに過ごしてきた中で、僕なりに近い距離で、みんなと過ごしてきたつもり。8強まできたことは本当に素晴らしい。最後まで諦めない精神で、みんなに元気をもらった。うちのスタッフにも感じて欲しい。一緒に過ごしてきた中での糧を感謝したい」と、日本代表に感謝した。そして「田村選手は、ずっと変わらず付き合ってくれて、1番大事な平尾さんの追悼試合のジャージーも僕に託してくれた。たくさんの思い出をくれたことをありがたく思う」と田村にも感謝した。

その上で「これからも、ずっと1ファンとして応援しまし、未来のファンを1人手も作ることが出来るよう、格好いいヘアスタイルを作り続けたい」と、今後もラグビー日本代表と選手を応援し続けると宣言した。【村上幸将】