安倍晋三首相の在職日数が20日、第1次内閣と合わせて計2887日となり、戦前の桂太郎を抜いて、憲政史上歴代1位となった。歴史に名を残す晴れ舞台に身を置くはずが、私物化疑惑が問われている「桜を見る会」問題が直撃し、お祝いムードはない。野党の弱さも背景に、モリカケ問題や閣僚ドミノ辞任など危機的場面も巧みにかわし、1強長期政権を築いてきたが、記念の節目を「桜爆弾」とともに迎えた首相。過去最大級といわれるピンチを、乗り越えられるのか。

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◆安倍政権の課題 12年に首相に返り咲いた際に打ち出した経済政策「アベノミクス」は円安・株高をもたらし、日本経済を押し上げたが、昨今は頭打ち感が否めない。外交では、16年11月に初会談したトランプ米大統領と良好な関係を築き、長期政権のおかげで国際会議でも存在感を示す。しかしロシアのプーチン大統領との間に抱える北方領土、北朝鮮による日本人拉致問題など、自身が解決すると明言した課題で結果を残せていない。悲願とする憲法改正もまともな与野党議論すらできておらず、実現のめどは立っていない。