安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、29日から本格スタートする大型連休期間中、昭恵夫人の外出自粛に全力を尽くす考えを示した。夫人は新型コロナウイルス感染拡大が始まっていた先月、自由気ままな外出が報道されたが、この連休は、緊急事態宣言発令下の「ステイホーム週間」だ。野党議員から、夫人に外出を自重してもらうよう異例の要請を受けた首相は、妻を含めて「人との接触8割減」への協力を、あらためて呼びかけた。

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「総理はこの話をされるのがいちばん嫌だと思うが、総理が(外出した夫人を通じて新型ウイルスに)感染するようなことになれば、いちばん困る」。今年、国会で何度も昭恵夫人の「外出問題」について釈明を続けてきた首相。ついに夫人に対する「公開外出自粛要請」を受けるに至った。

昭恵夫人をめぐっては、新型コロナウイルス特措法施行翌日の先月15日、大分県の神社を参拝していたことが週刊誌報道で発覚。首相は、事前に把握していたとした上で「『3密(密閉、密集、密接)』にならないよう気をつけてと伝えた」と説明。しかし別の週刊誌も、夫人がアイドルらと写った「花見写真」を報じ、首相は「レストランで会合した際の記念撮影」と、苦しい釈明に追われた。

国のトップが国民に外出自粛をお願いする一方、ファーストレディーは外出を重ねる皮肉。首相は、国民民主党の渡辺周議員に「夫人に関する答弁は、大変苦しい。『3密』ではないから問題ないではなく、夫人がそういう行動を取れば総理の説得力に、はてなマークがつく」と指摘された。「連休中は不要不急の外出を避けてほしいと総理が国民に訴える中、最も理解者であるご夫人があちこち行かれると説得力を持たなくなる。国民に呼びかける以上は(夫人を外出させないと)約束いただきたい」とまで、突っ込まれた。

これを受けて答弁に立った首相は「当然、私も私の妻も含めて、人との接触を8割減らすことに全力を尽くさなければならない」と、連休中のステイホームを夫人に促すような決意表明。「国民の皆様にも特にお願いしたい」と、加えた。

首相が設定した緊急事態宣言は5月6日までだが、感染拡大する都市部などでは延長が避けられないとみられる。緊張感も長期化の様相の中、夫人の行動は首相のアキレスけんとなり続けそうだ。