東京都知事選は5日、投開票され、現職の小池百合子氏(67)が再選を果たした。強力なライバル不在の中、公務を優先しながら、新型コロナウイルス対策に打ち込む現職の姿をアピールした。ただ今後もコロナ対策や東京五輪・パラリンピックの開催など、課題は山積みだ。1期目以上に厳しい目で見られる2期目は、政治家としても正念場を迎えることになる。投票率は55・00%で、前回を4・73ポイント下回った。

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午後8時の投票締め切りとほぼ同時に、小池氏は再選を決めた。白いジャケット、勝負カラーの緑のインナーで事務所に現れた小池氏は、代表取材に「都民の皆様の力強いご支援を大変うれしく感じる。これからの大切な2期目、その重責を担っていく。責任を感じています」と話した。

これまで1期目の自己採点はせず「選挙で都民に評価してもらう」との立場を貫いてきた。「4年間、東京大改革を進めてきた。それをご評価いただけたと大変うれしく思う」。大差による再選が、1期目への都民の評価だと強調した。

新型コロナウイルス感染防止を理由に、選挙戦で1度も街頭活動はしなかった。再選を受けたバンザイもなし。「まだコロナ禍の真っただ中。万歳という気持ちにはなかなかなりにくい」。それでも、荒木ちはる選対本部長から百合の花が入った花束を渡され、とびきりの笑顔を見せた。

オンライン選挙を貫いた。選挙活動は1日に数時間だけの日もあったが、一方で、現職としてコロナ関連で何度も会見を開いた。結果的に、“コロナと闘う現職”をアピールする形になったという見方もある。

その姿は、2期目も変わらない。ただ、ますます結果が問われることになる。新規感染者数は5日まで、4日間連続で100人を超えた。「喫緊の課題は、何よりも新型コロナ対策」。若い世代の感染が増えており「第2波に備える意味でも、非常に重要な時期」と述べ、東京版CDC(米疾病対策センター)の設立などをあらためて訴えた。

2期目も、多くの壁が立ちはだかる。都はコロナ対策で財政面が危機的な状況にある。休業再要請の際、保証はできるのか-。さらにその状況で、来年に延期された東京五輪・パラリンピックは、安全安心に開催できるのか-。そんな中でもささやかれる国政転身の臆測。2期目をまっとうするか問われた小池氏は「今、当選確実をもらったばかり」と、けむに巻いた。

「無風」と言われた戦いでライバルは圧倒した。今日からは力量が問われる日々が、再び始まる。【近藤由美子、佐藤勝亮】