総裁選に出馬した3候補の名刺が、ネット上で高額売買され、土俵外でホットな戦いが展開されている。スマホアプリのメルカリでは直近の最高値は石破茂元幹事長の農水大臣時代のもので、なんと「2万円」で完売済み。菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長を頭ひとつリードしている。党内7派閥中、5派閥の支持を受け、最有力とされる菅氏は官房長官の名刺が「1万2000円」、岸田氏は政調会長の名刺が「1万1500円」だった。

菅氏は3日、自身の名刺がネット上で高額販売されていることに仰天。パソコン画面で完売となった自身の名刺を確認すると苦笑いを浮かべた。

-総裁選3候補の名刺が高額で出品されて、いずれも完売しています。

菅氏 えっ、本当? 驚いちゃうな(笑い)

-菅長官は1万2000円で、3候補のうちで一番高いのは石破さんの農水大臣時代の2万円でした。

菅氏 私のが、1万2000円もするの! 

-どう受け止められますか?

菅氏 うーん、それは(笑い)

会見でおなじみのポーカーフェースではなく、最後はにこやかに、おとぼけモードでけむに巻いた。

国会議員ら政治家は有権者や支援者などへの名刺配りは、ルーティンワークのひとつ。それでも内閣総理大臣の3候補の名刺が高額で売買されているのは意外な事実で、合法なのか、という素朴な疑問も浮上する。元衆院議員で東京高裁検事長などを歴任した若狭勝弁護士は「少なくとも正当な手段で入手したものであれば、法的な問題は生じないと思われる」とした。その上で、若狭氏は「名刺交換は相手との信頼、信用にかかわるという点からは、いかがなものでしょうか」との見解を述べた。

肩書が内閣総理大臣となれば、さらに高騰する可能性もある。14日の投開票へ向け、名刺バトルも注目を集めそうだ。【大上悟】