「ペア碁俊英トーナメント」準決勝2局が5日、都内のホテルで打たれた。上野梨紗初段(14)福岡航太朗初段(14)組は、岩田紗絵加初段(23)藤井浩貴初段(18)組に白番中押し勝ち。中盤に差をつけられていたが、徐々に詰めて局面をひっくり返した。仲邑菫初段(11)三浦太郎初段(16)組と対戦した1回戦に続いて逆転勝ちした。「流れが悪くなってダメかなと思った。最後は良かった」(上野)「粘り強く打てた。決勝に向けて布石の研究をしておきたい」(福岡)。

もう1局は、張心澄初段(14)渡辺寛大初段(18)組が大須賀聖良初段(16)辻篤仁二段(18)組に黒番2目半勝ちした。「序盤悪かったが、勝てたのは運が良かった。明日も精いっぱい頑張ります」(張)「満足の行く碁を打ちたい」(渡辺)。

上野は、上野愛咲美扇興杯・女流本因坊(19)の妹。福岡は、日本棋院東京本院の院生(プロ棋士養成機関)時代に最下級のEクラスから114連勝の記録わ引っ提げ、昨年4月に13歳3カ月でプロ入りした期待のホープだ。

対する張は、父親が張栩元名人、祖父は小林光一名誉名人、曽祖父は故木谷実九段と囲碁界に名を残す棋士一家の長女。「結果を父に報告します」と笑った。2018年(平30)12月にデビューした関西棋院所属の渡辺との即席ペアで、決勝まで勝ち上がった。

このトーナメントは、男女が交互に打つ方式の対局で、同所で開催された「松田昌士メモリアル第31回国際ペアアマチュア・ペア碁選手権大会」の特別併催イベント。10~20代の日本棋院と関西棋院所属の若手男女棋士8組が参加した。日本ペア碁協会の前理事長で今年5月に亡くなった、松田昌士(まさたけ)元JR東日本社長の功績をたたえ、今回限りで創設された。

6日午前9時30分からは同所で決勝と3位決定戦が打たれる。