小池百合子都知事ら東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県の各知事が2日、新型コロナウイルスの深刻な感染状況悪化や医療提供体制の逼迫(ひっぱく)などを踏まえ、内閣府で西村康稔経済再生担当相と会談し、緊急事態宣言の発令を要望した。3時間を超える議論で現状と危機意識を共有。西村氏も「発令が視野に入る厳しい状況」との認識を示し、発令の要否を検討する方針だ。一方、経済的な厳しさが増す事業者や“コロナ慣れ”しつつある国民の協力がどこまで得られるかは見通せない。

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極めて異例の緊急会談だった。正月早々、各知事が書面ではなく、3時間を超える直接対面の熱意で示した。小池知事は「1都3県と国のワンボイスで伝えることは、ここで防がなくてはダメなことを、都民、県民、国民の皆さまにつながるメッセージになると思った。とにかく人の流れを抑制する必要がある。どう、ご協力いただけるかがポイント」。混乱を避けるための周知期間を設けるとともに、経済との両立を図りながら効果を最大化出来る措置の構築も求めた。

西村氏も「緊急事態宣言の発令が視野に入る厳しい状況との認識を共有した。国として受け止めて検討していく」と専門家の意見も集約しながら協議する。営業時間短縮要請などに関して「交付金を(各都道府県のものに)拡充した形で支援していきたい」と具体案も口にした。また、各知事に<1>飲食店やカラオケ店の酒類提供は午後7時まで、営業は午後8時まで<2>午後8時以降の不要不急の外出自粛<3>5割を目標としたテレワークの徹底<4>職場や学校での感染防止徹底<5>イベント開催の厳格化などを求めた。菅義偉首相もこの日を含めた年末年始の連日、対応の協議を続けている。

だが、あくまでも要請であり、罰則などはない。度重なる時短要請などで飲食店が経済的に応じられなくなっていることも現実。神奈川県の黒岩祐治知事が「現時点で協力いただけているのは2割」と明かすなど、よほどの厚遇でなければ応じる事業者の増加は見通せない。

感染者も4月時点と比べられない多さに膨れ上がっている。昨年12月31日には新規感染者が東京都で初の4桁となる1337人に上り、埼玉、千葉、神奈川でも過去最多となった。都内では医療提供体制に関し、同30日のモニタリング会議で有識者が「通常医療との両立が困難になっており、このままでは破綻の危機に直面する」と指摘した。医療崩壊、感染爆発を防ぐには、もう時間もない。緊急事態宣言の発令と同時に、画期的な支援策が不可欠だ。【鎌田直秀】