栃木県足利市の両崖山(りょうがいさん)で起きた火災は、発生から6日目となる26日も延焼が続いた。山中にある無人の御岳神社が全焼したことが26日、分かった。

両崖山には平安時代に築かれた足利城跡がある。国の重要文化財に指定されている名刀「山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)」が城主の長尾顕長のために打たれたとして伝わる。刀がオンラインゲームで舞台化もされた「刀剣乱舞」のキャラクターとして登場。御岳神社は、ファンの間で聖地として親しまれていた。

市内のある日本料理店では、新型コロナウイルス感染症拡大以前に、年に数回ほど刀剣乱舞のファン交流会を開催していた。今回の火災に店主は「ファンの方々は皆さん残念がっている。小さいほこらだったが、思い入れも強い」と肩を落とした。「もし再建することが決まれば、自分も含めファンの方々と協力したい。寄付やクラウドファンディングなどの後方支援も考えている」と語った。

市によると、焼失面積は約100ヘクタールに達している。市は、計305世帯に避難勧告を出し、26日13時時点で7世帯13人が避難しているという。

火災発生の約1週間前に現場付近を散策したという同市近隣の70代女性は「何度か散歩に来ているが、山頂の休憩所でたばこを吸ったり、アウトドア用のこんろでお湯を沸かしてコーヒーを飲んでいるような人もいた」と、火を使用するハイキング客が過去にもいたことを指摘。「火の気のないところなので、少し『怖いな』と思っていた」と話した。【沢田直人】