東京都の小池百合子知事(68)が「消灯令」を発令した。政府は23日、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に対し、明日25日から5月11日まで3度目の緊急事態宣言を発令。再び感染が急拡大した新型コロナウイルス対策として、都では午後8時以降のネオンやイルミネーション点灯の時間短縮を要請した。

目前に迫る東京オリンピック(五輪)・パラリンピックに向け、安心安全を確保する正念場の17日間を迎える。

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コロナ収束、東京五輪開催などに向け、明るい光がともるのか-。小池氏は「20時以降に照明をともなう看板、ネオン、イルミネーションなどを停止していただくようにお願いします。夜は暗いです。街灯のみがともるということに結果的になろうかと思います」と異例の呼びかけを行った。夜間消灯で国民、都民に危機感を植え付ける狙いだ。

1970年代のオイルショック、2011年の東日本大震災も引き合いに出した。「当時の東京も、銀座など夜の街が真っ暗だった。あの時は電力の消費制限。今回は人の流れを抑制するための措置」と語気を強めた。24時間営業のコンビニエンスストアなど、点灯が必要不可欠な場所に人が集まってしまう懸念もある。路上飲み防止なども警察と連携。治安や安全確保の問題も残るが踏み込んだ。

通勤や通学が激減する大型連休も、感染者抑制の好機と利用する。この日に実施した日本経団連幹部とのテレビ会議でも「飛び石になっている4月30日と、5月6、7日を有休休暇取得の機会にしていただきたい」。テレワーク定着だけでなく、最大11連休にする企業協力を要請。出来ることはなんでもやる構えだ。

まん延防止等重点措置中のこれまでも、医療、福祉、公共交通機関などに勤務するエッセンシャルワーカーを除き、「東京に来ないで」と大都市間や近隣県との往来自粛の徹底も訴えてきたが、再度「ゴールデンウイークも」と発信した。

1度目の緊急事態宣言は解除まで49日。2度目は74日を要しているが、今回はわずか17日間で解除を目指す。非現実的とも言える短期集中対策を強調する背景には、目前に迫った五輪がある。解除予定の5月11日の6日後、5月17日には国際オリンピック委員会のバッハ会長が来日予定だ。「終わりの期間(11日)も集中すべき。コロナを抑えていくことで(五輪開催に)ふさわしい状況にしていくためにも、この時期に抑え込んでおきたい」。コロナ禍中で風当たりも強い五輪に向け、感染対策で結果を出さなければいけない。

他の先進国に比べてワクチン接種も遅れている。「N501Y」などの変異株が猛威をふるう逆風の中、新規感染者数や医療提供体制を急速に改善させるのは、お先真っ暗で見通せない状況。「消灯令」に罰則規定もなく、徹底出来るかも未知数だ。難題山積の17日間が始まる。【鎌田直秀】

<東京五輪までの主な予定>

4月25日 3度目の緊急事態宣言発令

5月11日 緊急事態宣言解除予定

同17、18日 国際オリンピック委員会バッハ会長が来日調整中。広島市の慰霊碑献花や広島県聖火リレー到着式典出席を検討

7月21日 ソフトボール(福島市など)と女子サッカー(札幌市など)で競技開始

7月23日 オリンピックスタジアム(国立競技場)で開会式