横浜市戸塚区のアパートで飼われていたアミメニシキヘビが行方不明の状態が続き、周辺住民の不安は大きくなるばかりだ。

9日も、神奈川県警などが捜索を続けたが発見には至らず。姿が消えた6日から日数は経過したものの、爬虫(はちゅう)類の専門家は、体の大きさや夜行性の特徴などを鑑み、“現場”から100メートル以内の暗い場所を、近場から捜すべきと指摘した。

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体長約3・5メートル、体重約13キロ。変異種で少し黄色がかった体。人に危害を加える恐れがあるため動物愛護法で定められた「特定動物」。アミメニシキヘビは、どこに潜んでいるのか。逃げたとみられる家の南側ベランダの約20メートル先には大きな雑木林、西側には畑や住宅がある。北側は約50メートル先に通行量の多い道路が走り、ほぼ平行して名瀬川も流れ、ゴルフ練習場もある。ヘビにとって、身を隠しやすい土地柄といえそうだ。数百メートル先には小学校や幼稚園もある。

飼い主からの依頼で7日に自宅などの捜索を手伝った日本爬虫類両生類協会理事長で体感型動物園iZoo(静岡県河津町)の白輪剛史園長は「体重があるので動きはゆっくり。近くにある暗い場所。住宅内、車の陰、エアコンの室外機や温水器などにいる可能性が高い。アパートから100メートル以内をくまなく捜すことが先決」と潜伏先を推察した。実際は屋根裏や近隣住宅室内までは捜索出来ていないのが現状だ。同じ建物の住人からは「天井部分を調べてほしいとお願いしたが、壊して捜すことは無理と言われてしまった」との声もある。浴室の換気扇部分を開けて調べたが姿は見えなかった。

本来は熱帯地域にすむため、寒さが苦手。夏日のこの日は、少し行動範囲を広げた可能性はある。白輪氏は「ペットで飼われていても野生の感覚は失われない」。主に鳥類や哺乳類を捕食。鋭い歯でかみつき、直径約10センチの太い体で締めつける。息の根を止めてから丸のみすることが特徴だ。「人間の大人でも首に巻き付かれたら助からない。ですが、2メートル以内に近づかなければ襲われることはない。特に夜に1人で行動しないことは大事」。発見後は首を押さえて動きを止め、頭に布をかぶせ大人数で取り押さえることが必要だと言う。

近くに住む男性は「不安です。子どもたちも1人では外出させられていない」。名瀬小学校では集団登校ではない下校時は教師らが引率するなどの対応をとっている。【鎌田直秀】

◆アミメニシキヘビ 世界最大級のヘビ。最長で9・9メートルとされるが、一般的に全長は5~6メートル程度。背中に網目状の斑紋があることが名前の由来。インドやマレーシアなど主に東南アジアの高温多湿な熱帯雨林に生息。食性は鳥類、哺乳類が中心。クマや人を襲った例もある。繁殖は卵生で10~50個。夜行性で昼間は茂みなどで休む。国内での飼育には地方自治体の許可が必要。20年6月からは愛玩目的の新規の飼養許可申請は行われていない。皮革製品の原料や食用にもなる。寿命は約25年。