出版社の宝島社は11日、政府や自治体の新型コロナウイルス対応を風刺する意見広告を新聞3紙の朝刊に掲載した。

広告はいずれも2ページ見開きのフルスペースで展開され、少女たちが竹やりの訓練をする写真を背景に、中心部にはウイルスを思わせるイラストを掲載。「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」と記した。新聞3紙は朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞。

広告では、「私たち騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすれば良いのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ゴチャゴチャ言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか。今こそ、怒りの声をあげるべきだ」と、政府の新型コロナ対応を痛烈に批判するメッセージが並んだ。

同社の広報担当者は、日刊スポーツの取材に応じ、11日付の紙面で掲載した理由として「東京、京都、大阪、兵庫にて緊急事態宣言が発令され、その他の地域でもまん延防止等重点措置が取られる中、期間最終日にあたるため。延長されるにしても、世の中のコロナ対策に対する関心が高まるタイミングであるため」と説明した。

3紙に広告を掲載したことについては、「朝日新聞は、政府の姿勢に切り込む記事が多いことで知られる新聞紙のため、今回の広告クリエーティブとの親和性を意識して。読売新聞は、幅広い読者層に効率的に訴求するため。日経新聞は、働き盛りの世代に自分事化してもらうことを意識して」と意図を明かした。

広告掲載を受けてネット上では多くの意見が飛び交った。同社は「いつも多くのご意見や反響をいただきますが、特にSNS上では過去にないほどの反響でした」とコメント。賛否両論の意見を受け止めているとし、「企業広告は、企業として今社会に伝えたいメッセージをテーマにしており、広告を目にした方々に、何かひっかかりがあり、考えていただく機会になればと考えています」。

そして「とりわけ今回はこの緊急事態に気づいていただきたいとの企画意図があったため、新聞の読者はもちろん、ツイッターのトレンド入りをし、多くのメディアにも取り上げていただいたことで、新聞読者以外の方にも関心を持っていただけたのは本当によかったです」と話した。

同社は、1998年(平10)から、社会的なメッセージを込めた新聞広告を積極的に掲載してきた。今年1月にもコロナ感染対策をテーマにした企業広告を掲載した。