映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)の製作会社スターサンズが、助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分の取り消しを求めて、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)を訴えた裁判で、東京地裁は21日、不幸不処分の取り消しを命じる判決を下した。

東京地裁は「芸術団体等の自主性等を重んじる観点から、裁量権の範囲の逸脱またはその乱用にあたり違法である」とし、原告の主張が全面的に認められた。弁護団によると、こうした判決は初めてとみられるという。

不交付処分は、ピエール瀧がコカインを使用したとして19年3月12日麻薬取締法違反容疑で逮捕されたことを受けたことに端を発した。映画の製作会社スターサンズの河村光庸代表は会見で、判決の言い渡し後、瀧に連絡を取ったかと聞かれ「直接の連絡先は、私、知りませんので、事務所を通し1度、じっくり話をしたい」と語った。90年に漫画誌「モーニング」で連載された原作漫画を書いた、漫画家・新井英樹氏は連絡を取ったところ「すごく喜んでいた」(河村氏)という。真利子哲也監督と主演の池松壮亮にも、連絡を取っているが、まだ伝えられていないという。

質疑応答では、今回の一連の動きを映画化するかと質問が出た。河村氏は「私は企画、テーマから映画作りをしています。今回の裁判そのものを面白いと思う人はいないと思う。考えていない」と語った。

またピエール瀧を起用した映画企画の、今後の可能性についても質問が出た。河村氏は「ピエールさんにあった役割があれば…考えている企画では、思い浮かばない」と答えた。