現役最強ともいわれる渡辺明名人(棋王・王将=37)が3日、静岡県沼津市の「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われた第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局で、最年少タイトルホルダー、藤井聡太棋聖(王位=18)に100手で敗れた。シリーズの対戦成績は0勝3敗。タイトル奪還はならなかった。

前期、渡辺は藤井にタイトルを奪われ、今シリーズは立場が入れ替わり、タイトル奪還を目指したが、ストレート負け。過去38回のタイトル戦で、1度もストレート負けを喫したことがなかったが、藤井に一気に寄り切られた。

終局後、タイトル戦で初のストレート負けの質問に「そうですね。別に…、いや別に…。フルセットだろうが、どう負けようが意味がないと思う」と声を絞りだした。

渡辺は1月から始まった王将戦7番勝負で永瀬拓矢王座(28)に4勝2敗、2月から始まった棋王戦5番勝負で糸谷哲郎八段(32)に3勝1敗、4月から始まった名人戦7番勝負で斎藤慎太郎八段(28)に4勝1敗と、3冠を堅持した上で最強の挑戦者として名乗りを上げた。8大タイトル戦の前半は皆勤賞。棋聖戦で自身初の4冠を狙っていた。