将棋の史上最年少タイトルホルダー藤井聡太棋聖(王位=18)が、タイトル初防衛を果たした。3日、静岡県沼津市の「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われた「第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局」で午後7時14分、100手で挑戦者の渡辺明名人(棋王・王将=37)を下した。これで3連勝として棋聖を防衛した。18歳11カ月での達成は史上最年少。同時にタイトル獲得通算3期という規定を満たし、やはり最年少で同日九段に昇段した。渡辺はタイトル戦登場39回目で初めてストレート負けした。

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渡辺さんが長考したにもかかわらず決めかねていたようで、もどかしく感じました。40分も使って指した先手3一角(73手目)が敗着です。あそこは先手6四角として、後手5三角先手4四桂後手同角先手7五角なら必勝だったでしょう。先手6四角に後手5三歩でも先手7五角後手8九飛先手7九桂後手4六歩先手4四金で有望でした。

藤井さんの指し手では、後手2六歩(52手目)と飛車の頭を押さえた手がさえてました。後手3四桂(62手目)は、「肉を切らせて骨を断つ」藤井流でした。

棋聖戦で大接戦を制してのストレート防衛は、喜ばしい限りです。弾みを付けて、対戦成績1勝7敗の難敵豊島さんとの王位戦7番勝負、叡王戦5番勝負に、改めて臨めるでしょう。(加藤一二三・九段)