一力遼九段(24)の初の棋聖奪取は最終第7局に持ち越された。井山裕太棋聖(名人・本因坊・王座・碁聖=32)に3勝2敗とリードして迎えた、囲碁の第46期棋聖戦7番勝負第6局は、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で打たれた。10日からの2日制で行われた対局は、11日午後6時50分、236手までで白番(後手)の井山に中押し勝ちを許し、シリーズ成績は3勝3敗となった。

「1日目から苦しかった」と振り返った一力はこの日、優勢を築いていた井山への逆襲を開始した。粘って勝負ができる形にまで持ち込んだが、かど番の国民栄誉賞棋士に巧みにしのがれ、振り切られた。「何が正しい手だったか分からない。正しく打っても大変なのかもしれない」と盤面を見つめた。

くしくも11年前のこの日、東日本大震災が起きた。仙台市出身で、地元紙「河北新報」の御曹司でもある一力は朗報を被災地に送ることはできなかった。棋聖戦に初登場した4年前は震災復興のため、地元の囲碁ファンが開催招致に尽力してくれた岩手県大船渡市の第4局で敗れ、ストレート負けした。今度は簡単に終われない。

井山とのタイトル戦での対決は4回連続で最終局までもつれ込んだ。2年前の10~12月の天元戦5番勝負こそ3勝2敗で奪取した。だが、昨年6~8月の碁聖戦5番勝負は2勝1敗から、同年9~11月の名人戦7番勝負は3勝2敗から、いずれも連敗した。「気持ちを切り替えて頑張りたい」。

最終局は17、18日。10連覇を目指す国民栄誉賞棋士対初の棋聖獲得を目指す御曹司の「仁和寺(にんなじ、京都市)」決戦だ。