山梨県警は29日、道志村のキャンプ場で19年9月に行方不明になった小倉美咲さん(9)が当時履いていた運動靴と類似した靴の左足側と靴下の片方を、新たに発見したことを発表した。

28日に見つかった右足側と同じメーカー、色、サイズで、DNA鑑定を行うなどして美咲さんとの関連を調べている。23日に子供の頭部とみられる人骨が発見された付近を中心に、県警は約40人態勢で慰留品などを含めた捜索活動を行っている。

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記者は、美咲さんが最後に目撃されたキャンプ場から、靴などの発見現場まで続く林道を歩いてみた。激しい雨が降る中だったが、ゴールデンウイーク初日でもあり、キャンプ客でにぎわっていた。バーベキューの煙や食欲をそそる香りが漂う通りから細い路地に1歩入ると、一気に静寂に包まれた。最初は道幅約4メートルの舗装された道。どんどん道幅は狭くなるが、右手に民家が数軒見えた。だが民家を過ぎると、そこから景色と道が一変した。舗装道が寸断された。車によって出来た深いわだちは、雨によって2本の小さな川のようだった。カーブを右に曲がると、モヤも深まり薄暗い。ウグイスのさえずりを、カエルの鳴き声が打ち消すように響き渡るようになった。

急勾配な坂道も多く、大人の足でもスニーカーの軽装備では慎重に歩かなければ…。案の定、かかと体重になった時に滑り、あわや尻もちをつきそうに。道幅も車1台がやっと通ることが出来る約2メートルほどの場所も。両サイドには細かい落ち葉がうっすら積もり、どこまでが路面か分からないところもあった。道が狭い上にガードレールのない崖も多く、子供が1度走り始めてしまったら止まりきれず、崖下に滑落してしまうのではと思う危険箇所がいくつもあった。大きな石が転がる砂利道もある。台風や大雨の影響で、崖崩れや地滑りが起きたとみられる場所も点在していた。

規制線が張られた立ち入り禁止の現場近くまで約600メートル。記者の足でも約10分。美咲さんが、この場所を通ったかは定かではない。だが、46歳の記者でも1人で歩くのは、どこか心細く感じた山林の道。当時小学1年の女児が、20センチと小さくかわいらしいエメラルドグリーンの運動靴で歩みを進めようと思う場所ではなかった。【鎌田直秀】