米フロリダ州パームビーチに所有する別荘マー・アー・ラゴが8日に米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索を受け、機密文書が押収されたトランプ前米大統領が、ロシアに機密文書を流出させていた可能性が浮上した。

ロシアの国営テレビの司会者がFBIの家宅捜査について言及し、「ロシアは押収された文書にアクセスした」と述べたことを受け、米FOXニュースの司会者エリック・ショーン氏が番組の中で「トランプ氏は機密文書をロシア人やサウジアラビア人に売ろうとしたか、共有しようとしたのではないか」と疑問を呈した。

元諜報(ちょうほう)員でロシアの専門家であるレベッカ・コフラー氏とのインタビューで、トランプ氏は持ち出した機密文書で何をしようとしていたのか質問し、文書が誤って取り扱われたり、違法に第三者の手に渡る恐れについて指摘した。 

これに対してコフラー氏は、機密文書の保管場所としてのマー・アー・ラゴは「防諜の悪夢」と表現し、米国の機密情報が流出するリスクがあるとの見解を示した。ロシア、中国、その他の世界中のスパイが常に米国の機密情報を狙っていると語り、「米国はロシアのプーチン大統領と諜報機関の最大の標的だ」と述べた。

FBIはスパイ防止法違反の疑いで捜査令状を得ていたことも判明しており、押収品リストには「最高機密」を含む11組の機密文書が含まれていた。その中には核兵器に関する機密文書が含まれていた可能性も取りざたされている。

スパイ防止法では国防に関する情報を合法的に所有する人物が、取得を許可されていない人物に提供、または提供しようとすることも違反になるという。違反が認められ、裁判で有罪となった場合、罰金または最大10年の実刑判決となる可能性があると米メディアは伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)