ロシアのウクライナ侵攻を非難していた同国第2の石油大手ルクオイルのラビン・マガノフ会長が1日、モスクワ市内の病院の窓から転落して死亡したことが明らかになった。67歳だった。

ロシア国営タス通信は、匿名の関係者の話として自殺だと報じているが、ロシアではこれまでもルクオイルの元幹部や天然ガス大手ノバテクの元副会長らロシア政府を支える新興財閥オリガルヒの不審死が相次いでおり、マガノフ会長の死を巡っても殺人の可能性が取り沙汰されている。

ロイター通信はマガノフ会長を知る人々の話として、「自殺した可能性は低い」と伝えている。ルクオイルは2月末のウクライナ侵攻直後の3月初め、「外交的手段による交渉を通じての即時終結を強く支持する」と声明を発表し、ロシアの主要企業として初めて公に侵攻を批判したことが報じられていた。

報道によると、同会長は心臓病で入院しており、抗うつ剤を服用していたという。入院していたのは、同国の政治・経済界のトップが利用する中央臨床病院で、プーチン大統領はマガノフ会長が亡くなった日に8月30日に死去したゴルバチョフ元ソ連大統領に別れを告げるため同病院を訪れていたという。

プーチン大統領を巡っては、反プーチン派として知られるモスクワ出身の米国人実業家も8月14日にワシントンDCの自宅アパートの屋根から転落する不審死を遂げている。自殺と他殺の両面から捜査が行われているというが、家族は自殺を否定しているという。英デーリー・メール紙によると、6月中旬に同氏はポッドキャストの番組でプーチン大統領をあざけり、ロシア軍の無能ぶりを語っていたという。亡くなった当時、1人で米国に滞在していたというが、直前までウクライナにいる妻と幼い娘を米国に呼び寄せるため動いていたといい、他殺の可能性も指摘されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)