下肢障がい者によるベンチプレスの体重別競技「パラ・パワーリフティング全日本選手権」が29日、東京・築地本願寺第2伝道会館で行われた。開会式では築地本願寺の僧侶3人の読経が会場内に響いた。

ラオスと台湾からの招待選手も参加し、男女各10階級計20階級で熱戦が繰り広げられた。男子59キロ級では光瀬智洋(29)が体重の約3倍の154キロを挙げ、自身の持つ日本記録を1キロ更新した。満員で埋まった180席の観客席を見渡した光瀬は「コロナ禍で無観客での選手権が続いて、こんなにお客さんに応援してもらえたのが久しぶりでうれしかった。築地本願寺の雰囲気もいいですね」と笑顔で話した。

訪れた観客は出場選手のウオーミングアップの写真撮影や見学は自由で、選手だけではなく大会関係者とも気軽に会話もできた。「選手に声援を送ってくださーい」との場内放送も入って会場内は終始にぎやかだった。休憩時間では、阿弥陀(あみだ)如来の本尊とすぐ横に設置された競技スペースでの記念撮影が大人気だった。

大会誘致をした築地本願寺の東森尚人副宗務長は「改善点はありますが敷地内はほぼバリアフリー。今後もパラ競技の大会を希望があれば受け入れたい」と話し「境内はフラットなので、ふらーと散歩とかで普段づかいしてもらいたい」とダジャレでアピールした。

動画投稿サイト「youtube」では大会の模様が開会式から生中継された。競技解説ゲストとして来場したタレントでパワーリフティング元日本代表なべやかん(52)は「選手がご本尊に一礼してから競技に入るのなんて初めて見た。銀座からも徒歩圏内だし、今度は築地本願寺で世界選手権をやってほしい。期待しています」とやや興奮した口調で語った。【寺沢卓】