フィリピンのレムリヤ法相は1月31日、日本の広域強盗事件をめぐり、日本が要請した容疑者4人の強制送還について、マルコス大統領の訪日前の2月6日までに決着を目指すと述べた。日本が一斉送還を望むなら従うとの考えも示した。ただ一部容疑者は、送還の障害となってきた刑事事件の取り下げ手続きが難航する恐れもあり、移送期日は流動的だ。

首都マニラの入管施設に収容されている4人は、渡辺優樹(38)、小島智信(45)、藤田聖也(38)、今村磨人(38)の4容疑者。渡辺容疑者がリーダー格という。レムリヤ氏は、容疑者の1人は一両日中にも送還できるとし、別の1人も2月3~5日ごろに送還する可能性があるとも述べていた。送還2人目となる見通しの容疑者は、日本人女性に暴力行為で告訴されていると指摘。女性は施設を定期的に訪れて容疑者と面会、親密な様子を見せており、告訴は「不正直だ」と批判した。虚偽の告訴を助けた弁護士の資格剥奪も辞さないとした。

また、容疑者らの通信機器を押収。うち1人は6つの携帯電話を所持していたという。渡辺容疑者が最近、自室にこもっていることも分かった。また渡辺容疑者から暴力を受けたと告訴したフィリピン人の「元妻」の弁護士は虚偽告訴を否定。「和解も告訴取り下げもしない。政府から圧力はない」と強調した。公判には、渡辺容疑者はオンラインで出廷しているという。

指示役とされる「ルフィ」や「キム」らが含まれるとみられる渡辺容疑者らの特殊詐欺グループによる被害が、18年11月から20年6月ごろまでに約2300件、計約35億円に上ることも判明した。警視庁は窃盗容疑で4人の逮捕状を取っており、移送後に強盗事件への関与についても調べる。日本の受け取り役と共謀して金融庁職員らに成り済まし、フィリピンから都内の70代男性に電話し「口座が不正に残高照会されている」とうそを言い、キャッシュカードを盗むなどした疑いがある。逮捕者は、70人以上に上るという。