ニュースキャスターの森本毅郎氏(83)が9日、TBSラジオ「森本毅郎 スタンバイ!」(月~金曜午前6時30分~同8時30分)に出演。2014年(平26)~15年(平27)当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相が、放送法の政治的公平性を巡って首相官邸と総務相側のやりとりを記した内部文書を「捏造(ねつぞう)」とした問題について語った。

放送法の政治的公平を巡る事実上の解釈変更について、高市氏は9日の参院内閣委員会で、自身が登場する総務省の行政文書について「明らかに正確なものではないと断言ができます。これを正しい文書であるといわれてしまえば、私は本当にどうしようもない」と述べ、作成者や日時が不明な箇所があることに触れ「勝手につくられたメモだと思った」と主張した。

高市氏の答弁が正しければ、総務官僚が作成した文書の存在が否定されかねない事態。森本氏は「どう考えても高市さんの答弁は苦しい。なぜ(総務官僚が)捏造しなければならないのか。(高市氏は)捏造の論拠もパフォーマンスじゃないかと言っている。どうも総務省は『捏造だ』と問われも、『そうじゃない』と怒るどころか『まだ分からない』と言っている。この煮え切らない総務省の態度が一番、解釈に苦しむ。自分たちの出した公文書を捏造と言われて怒らない総務省って一体何なんだと思う」と総務省に毅然(きぜん)とした対応を求めた。

その上で「放送の自由という重要な問題への政治介入がはらんでいる。密室で話し合われて、総理との間で進んだ問題」と指摘し、放送法の解釈の大転換だとして真相解明を求めた。

リスナーからは文書を「捏造」と主張し続ける高市氏に多くの声が寄せられた。「捏造と言っても無理がある。当時の安倍政権には勢いがあって、官僚は必死に安倍政権に従った時期。安倍さん高市さんが言わないことを記録に残して役人に何の得があるのか。むしろ必死に2人の言動を記録して出世しようしていた」「おととい3月7日は森友問題で文書を改ざんさせられて自殺された方の命日。自分たちがこれまでも公文書の改ざん、隠蔽(いんぺい)、破棄をしているから、こういう問題発言が平気で出てくる。救いは、これは大変なことだと記録をしっかり残した官僚がいたこと。まだ気骨のある人がいたのでホッとした」「(高市氏の答弁は)森友学園での責任をうやむやにしてしまった安倍さんと同じ戦法。しかし、今回は当該文書を作成した公務員が必ず存在し、文書ももう公開されている。証拠を改ざんして隠してしまったあのときのようにはいかない。いずれ『捏造論』は破綻する。自分の部下であった公務員を『容疑者』にできないことを悟って。それこそ総務省の文書管理能力を全否定することになり墓穴を掘ることになる」「この方(高市氏)は安倍チルドレンとされる人で思想は安倍さんをなぞったようなもの。答弁で『辞めてもいい』と言ったたんかの切り方は、森友問題を追及された安倍さんの言い方を思い出した。今回も官僚の忖度(そんたく)を引き出す姑息(こそく)な考えだと思う」となどといった厳しい声が寄せられた。