将棋の最年少6冠、藤井聡太叡王(竜王・王位・棋王・王将・棋聖=20)が菅井竜也八段(31)の挑戦を受ける、第8期叡王戦5番勝負第2局が23日、愛知県名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われ、先手の菅井が115手で勝ち、対戦成績を1勝1敗のタイとした。第3局は5月6日、名古屋市の「か茂免」で行われる。

居飛車党の藤井はここまでタイトル戦13戦負けなし。タイトル戦14戦目にして、振り飛車党の棋士と初対戦となったが、中盤からリードを奪われた。終局後、藤井は「ちょっと仕掛けが無理筋だった。うまく対応され、形勢を損ねてしまった」と完敗を認めた。

第2局は菅井が5手目に大駒の飛車を7筋に振る戦型「三間飛車」を採用した。菅井は第1局でも「三間飛車」をぶつけてきたが、藤井が堅い守りで完勝した。相手が金と銀で周りを固め、最も守備力の高いとされる「穴熊囲い」に藤井も「穴熊囲い」で対抗した。双方が「穴熊囲い」にとなる「相穴熊」。藤井がタイトル戦で「穴熊囲い」を採用するのは初めて。振り飛車党との未知の領域での戦いとなった。

振り飛車党との対戦経験が少ないためか、苦戦した。70手目には持ち時間40分を使い切り、相手より先に1分将棋へ突入した。秒読みの中、投了の追い込まれた。

藤井は叡王戦と同時進行するかたちで渡辺明名人に挑戦する名人戦7番勝負では先勝。史上最年少の20歳での名人獲得に期待がかかる。叡王3連覇、6冠堅守へ、ハードスケジュールが続く。第3局へ向け「もっと読みの精度を高めたい」と課題を口にした。

 

◆先手叡王(えいおう)戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。タイトル序列は竜王、名人、王位に次いで4番目(以下王座、棋王、王将、棋聖)。主催は不二家。特別協賛・ひふみ。協賛・中部電力、豊田自動織機、豊田通商、日本AMD。2015年(平27)に一般棋戦として第1期を開催。第3期以降、王座戦以来34年ぶりにタイトル戦に昇格した。歴代獲得者は高見泰地、永瀬拓矢、豊島将之、藤井聡太と毎回交代したが、昨年5月に藤井が初防衛を果たした。段位別予選(四・五段各1、六・七段各2、八・九段各3)の突破者と、シードの計16人による勝ち抜き戦で挑戦者を決める。主催の不二家が「糖分補給」のアシストを兼ねて、午前10時と午後3時におやつを両対局者に提供する。

 

【第8期叡王戦5番勝負第3局以降の日程】

◆第3局 5月6日、名古屋市「か茂免」

◆第4局 5月28日、岩手県宮古市「浄土ケ浜パークホテル」

◆第5局 6月17日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」

 

<主催>不二家、日本将棋連盟

<特別協賛>ひふみ

<協賛>中部電力、豊田自動織機、豊田通商、日本AMD