東京都の小池百合子知事は19日の定例会見で、首都直下地震が発生した場合の最悪のケースについて、政府の作業部会が同日に公表した新たな被害想定の内容について、「首都圏の実態を十分に反映したものではない」と反論した。
「今後、専門家の意見も聞きながら、実態に即した新たな都の被害想定をスピード感もって取りまとめ、さらなる対策につなげていく」として。都として独自の被害想定をまとめる考えも示した。
この日公表された新たな被害想定の内容は、最悪のケースの場合、1万8000人が死亡するとし、経済的な被害を82兆6000億円と算定。都の死者想定数は最大8000人で、全体の4割超に及ぶとした。
一方、小池氏は「国の被害想定は、自治体や事業者などが防災対策、立案などを行う元になる、極めて重要なもの。しかしながら、今回の被害想定は首都圏の実態を十分に反映したものではありません」と反論。理由の1つに挙げたのは電力被害に関する想定で、「算定根拠としているのが、約10年前のデータ。これまで事業者などによって投じられてきた対策の効果は、入っていない」と述べた。 その上で、「このように、実態に即していない被害想定では自治体などが必要な対策などを講じることはできない、と申し上げたい」と強い調子で、国の対応を批判した。
小池氏は、こうした主張を「都はワーキンググループの中で申し上げてきた」として「国の被害想定などに対し、これでは…ということで、都の見解書をまとめたので公表させていただく。合わせて、国に対しては、今回の被害想定の検証を強く求めていきたい」とも訴えた。
東京都の取り組みについて「首都直下地震などに備え、耐震化や不燃化など都市の強靱化(きょうじんか)を加速させ、むしろ全国をリードしてきた」と、強調。2022年に都が実施した被害想定では「10年前と比べて人的、物的被害が大幅に軽減している」と述べ、「これまで(都は)中長期的なプロジェクトを計画的、着実に実施してきた。急に、ここで古い数字を出してきたり、災害の種類は都市部と地方の海岸に面している場所など地形やプレートなどで違うのに、それをそのまま東京に当てはめるのは、いかがなものか」と、異論を連発した。
小池氏はまた、かねて猛反発している、東京と東京以外の道府県の税収格差是正に向けた方策づくりに、政府・与党が動いていることに触れ、「地方税制度の改悪には、あらゆる手段を用いて対抗する」と、あらためて国の動きを批判。その上で、「このような形で(首都直下地震対策を)進めていくのには、安定的な財源の確保が不可欠。にもかかわらず、都の財源を突如として収奪しようということだと、都民の安全安心の確保に大きな影響を及ぼしかねない」と述べ、「都は地方税制の改悪には断固として反対していく」と、あらためて主張した。

