こんにちは。先週のスプリンターズステークスと凱旋門賞は観戦されましたか? どちらも素晴らしいレースでした。

まずスプリンターズステークスについては、川田騎手の好騎乗が印象的で、3コーナーへ入る前のナムラクレアとメイケイエールとのポジション争いの中で、内にいたナムラクレアへ進路を取らせず後ろへ引かせたことが勝敗の命運を分けたと思います。また、外のメイケイエールに対しても外を回させて距離ロスを与え、直線に入る前に自分の進路をしっかり作っていたことで、トップギアで直線に入ることができ、最後の粘りにつながっています。あの駆け引きがうまくできていたからこそ、坂井騎手鞍上のマッドクールの強襲をしのぐことができたのだと思います。坂井騎手も完璧な騎乗をしていましたので、鼻差で勝利に届かなかったのは結果以上に悔しかったと思います。勝利したママコチャは金子オーナーがこれまで積み重ねてきた血統の結晶とも言える馬で、まるでゲームの中のような血統馬を所有出来るオーナーのすごさを改めて思い知りました。今後どのようなローテーションで戦うのかは分かりませんが、国内外問わずさらなる活躍をしてくれたらと今から楽しみです。

そして日本時間の夜に行われたフランスの凱旋門賞ですが、今年は近年まれに見る好天の中で開催されました。テレビで見る限り現地はとても暖かそうで、こんな天気がこの時期のパリであり得るのかと個人的に驚きました。去年の凱旋門賞へ行かせていただいた時はレース直前から土砂降りの雨だったので、できれば今年のような天気の中でやらせて欲しかったと思いました。レースは、フランスのエースインパクトが名前の通りエースらしいインパクトのある走りで快勝しました。この馬は、パドックなど見てもまだ精神的に子供な部分があると感じたので、来年はより一層強くなる気がします。そして、もちろん来年の凱旋門賞でも日本馬にとって最大のライバルになる可能性が高いと思います。ヨーロッパの馬でここまでの切れ味がある馬はめったに見ないので、今後種牡馬になっても素晴らしい産駒を出すのではと感じます。

日本から参戦したスルーセブンシーズは、直線に入る時の手応えや直線の伸びは一瞬勝てるかもと思わせてくれましたが、また凱旋門賞という壁にはね返されてしまいました。ただ、こういう走りを見ると日本馬が勝つのはあとはタイミングだけだと、去年私が感じた感覚からより一層確信へと変わりました。

今週からは東京、京都といよいよ秋競馬が本格的に開幕します。有力馬も続々始動するので、楽しみしかありません。皆さま、ぜひ一緒に楽しみましょう。

(レースホースコーディネーター)