<ダービー>

ドウデュースの武豊騎手は、前にジオグリフ、ダノンベルーガ、後ろにイクイノックスを置いて、4コーナーに突入した。早めに前を追えば後ろの餌食に。じっくり構えれば前を捉えきれない。仕掛けのタイミングとしては難しいが、その迷いを「最高の手応え」が吹っ切った。

4角出口で外を回るドウデュース(左から2頭目)。同7頭目がイクイノックス
4角出口で外を回るドウデュース(左から2頭目)。同7頭目がイクイノックス

「自分より前にいる馬は全部かわせると思った」。となれば相手は1頭。直線入り口でイクイノックスが内を回ったのは視界に入っている。内からはじかれるのは避けたい。ジオグリフとドウデュースの間を狙ったルメールを、いったん誘い込んでから右ステッキで進路を封じた。

アスクビクターモアをかわし先頭に立つドウデュース(中央)。左から2頭目はイクイノックス
アスクビクターモアをかわし先頭に立つドウデュース(中央)。左から2頭目はイクイノックス

最後は首差まで迫られているだけに、少しでも隙を見せればつけ込まれる。抜け出したラスト1ハロンは右、左、右とステッキを持ち替えて、もたれる愛馬を鼓舞。ロスのないように導いた。悔いは残さない。最善を尽くして先頭でゴールに飛び込んだ。これでダービー6勝目。53歳にして衰え知らずの「心技体」には驚かされる。

ダービーを制したドウデュース(中央)。左は2着イクイノックス
ダービーを制したドウデュース(中央)。左は2着イクイノックス

昨年の2歳王者。弥生賞までは好位差しの正攻法で臨んだが、皐月賞は後方から大外を回って最速33秒8の脚で差し込んだ。結果は3着だが、ためれば切れる。その手応えをつかんでのダービー。先頭から大きく離されても動じない。青写真通りの戦法で結果を出す。これができるのは、武豊をおいてほかにいない。

ドウデュースで6度目のダービー制覇を果たした武豊騎手は手を振ってファンに応える(撮影・丹羽敏通)
ドウデュースで6度目のダービー制覇を果たした武豊騎手は手を振ってファンに応える(撮影・丹羽敏通)