ジャックドールの藤岡佑騎手は、後ろにソダシの気配を感じながら、意識を前へ向けた。残り800メートル地点。逃げるパンサラッサと2番手ユニコーンライオンの差が徐々に開く。3番手の外。動くには少し早いタイミングだが、内のウインマリリンをかわして前へ。4コーナーでパンサラッサを射程圏に捉えると間髪入れずに並びかけた。

2着の吉田豊騎手が「4コーナーでセーフティーリードがほしかった」と話したように、もしソダシの追い上げを待っていたら、逃げ切りを許したかもしれない。勝敗を分ける大きなポイントだった。1番人気との位置関係、ゴールまでの距離を考えると、あそこで動くのは勇気がいる。それでも迷いなく仕掛けられたのは、前半のポジション取りがうまくいったからだろう。

スタートから逃げる気はなく3、4番手で折り合えたのも大きい。前半1000メートルは59秒5。速い流れの中でもしっかり脚はたまった。さすがに最後は余力がなかったが、強気のロングスパートが2着馬を競り落とし、後続のスタミナも奪った。藤岡佑騎手の絶妙な仕掛けが、2つめの重賞勝利をアシストしたといっていい。

4コーナーを駆け抜ける1着ジャックドール(左から3頭目)左から5頭目は5着ソダシ。ソダシの後方にハヤヤッコ(撮影・黒川智章)
4コーナーを駆け抜ける1着ジャックドール(左から3頭目)左から5頭目は5着ソダシ。ソダシの後方にハヤヤッコ(撮影・黒川智章)