松山騎手の強気の仕掛けが、ゴール前の競り合いを制した。

好スタートを決めたガイアフォースを6番手に導くと、道中は前を走るアスクビクターモアを目標に流れに乗った。折り合いもスムーズに3、4コーナー中間へ。動いたのは残り600メートル地点。タイミング的には少し早いが、手綱をしごきながら先頭に並びかけにいく。手応えではアスクビクターモアの方が断然良かったが、ここが勝負どころと攻め込んだ。

キタサンブラック産駒で母父はクロフネ。血統的にも先行してのしぶとい末脚が身上だ。この特長を生かすには惰性をつけて加速する形がいい。過去4戦、一度も上がり33秒台をマークしたことはなく、直線まで追いだしを待っていては捉えきれない。だから消耗戦へもっていった。

坂でいったんは前へ出られたが、差し返して頭ひとつ出たところがゴール。前走の国東特別(1着)も4角先頭から後続を7馬身突き放してのレコード勝ち。瞬発力というよりスピードの持続力でライバルをなぎ倒していくタイプだ。

仮に直線まで「ため」を作ったとしても、差し切るほどの切れを発揮できたかは疑問。差は詰まらなかったかもしれない。馬の癖や走りの特徴をしっかり頭に入れているからできた早仕掛け。松山騎手の好騎乗が光った。

アスクビクターモア(左)との競り合いを制しセントライト記念に勝利したガイアフォース(撮影・丹羽敏通)
アスクビクターモア(左)との競り合いを制しセントライト記念に勝利したガイアフォース(撮影・丹羽敏通)