<ヴィクトリアマイル>

ソングラインは位置取りの勝利だ。スタートを決めると、内から先行するスターズオンアースの後ろへ潜り込んだ。向正面で馬群がごちゃつきナミュール、クリノプレミアムなど数頭が不利を受けたが、このアクシデントに巻き込まれることなく、7、8番手で流れに乗った。

3コーナーでは馬群に包まれたが、強い馬の後ろなら「道」はできる。戸崎騎手は自分からアクションは起こさず、ライバルについていく形でリズム良く走らせた。直線でソダシが早めに抜け出した時も、スターズオンアースが追いだしにかかっても慌てない。ワンテンポ仕掛けを待つ余裕があった。この「ため」が最後に効いている。

ゴーサインを出したのは残り400メートル地点を過ぎてから。内に進路を取ると、前2頭を追って猛然とスパート。ソダシとは頭差の接戦になったが、ゴール前の勢いは違っていた。同じ馬混みでも進んでいかない馬の後ろでは致命傷になるが、前にスターズオンアースといういい目標がいたことで、レース運びが楽になった。この状況を作った戸崎騎手の好騎乗も見逃せない。

ヴィクトリアMを制したソングライン(右)と戸崎騎手、左は2着のソダシとレーン騎手(撮影・鈴木正人)
ヴィクトリアMを制したソングライン(右)と戸崎騎手、左は2着のソダシとレーン騎手(撮影・鈴木正人)