岩田望騎手のメリハリの利いた騎乗が、アスクワンタイムに重賞初制覇をもたらした。スタートは五分に出たがすぐに加速するタイプではない。逃げたドナヴィーナスの2、3ハロン目は10秒4、11秒0の高速ラップ。鞍上がせかして無理に出して行けば、バランスを崩す恐れがある。
向正面ではいったん最後方まで下がり先行集団との差も広がったが、それでも位置取りより走りのリズムを重視した。この判断が最後のたたき合いを制した大きな要因だ。残り600メートルから徐々に前との差を詰め、2着ミルテンベルクを目標に4コーナーでは大外へ。
前半で余力を残していた分、加速してからは勢いを止めることなく、一気に先頭へ躍り出た。ひと呼吸置いて仕掛けていたら、2着馬の巻き返しにあっていたかもしれない。自身の上がり3ハロンは34秒4。レースラップのそれ(35秒3)を0秒9も上回る。焦らずしまいに懸けた岩田望騎手の好騎乗が、究極の末脚を引き出した。