勝負を懸けた時の幸騎手は、本当にうまい。それを感じたのは3コーナーまでのポジション取りだ。ドロップオブライトのスタートは、それほど速くなかったが、手綱をしごいて前を取りにいく。隣のキタノエクスプレスを制し、スズハロームを内から交わすと、外から並びかけてきたレッドヒルシューズにも譲らず3番手を手に入れた。
本来は「好位差し」の馬だが、1番枠だけに少しでも引く構えを見せれば、コーナーでかぶされて位置取りが悪くなる。しかも、前半600メートルは33秒6。これといった逃げ馬不在で、高速馬場の重賞としては流れは遅い。このあたりの読みもあったはず。勝負どころまで他馬の(内への)進入を許さず、逃げたグランテストの後ろへ。この積極策が一番の勝因だ。
直線のさばきも完璧だった。4コーナー途中から2番手グレイトゲイナーの内に馬体を寄せ、こじ開けるように進路を確保。少しでもちゅうちょすれば、締められて狭い最内に切り替えるか、いったん控えて外へ出すロスが生じる。コース選択に迷わず一気にいったことが、2着スズハロームの追い上げを首差退けられた要因だろう。
前走の惨敗(パラダイスS10着)からしっかり立て直した福永師の勝負仕上げに、幸騎手が鋭い勝負勘で応えた形。ベテランジョッキーの「読み」と「熟練の技」が、福永厩舎を重賞初制覇へと導いた。



