エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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カタログの募集馬の「コメント」欄にも、気性についての記述が見られる。ただ大抵が短文なので、「気力」「気の強さ」「賢さ」と言った各馬の気性に関わる所には敏感に反応し、一言の記載の裏にある各馬の精神や内面を可能な限り読み取るように努めている。ただ、募集段階ではマイナスコメントはほとんどないし、プラスコメントはリップサービスもあり注意が必要である。余談だが「世界を狙う」とか「クラシック候補」などという、客観的事実に基づかない美辞麗句にも気をつけた方がいい。

募集馬の気性について重要なコメントが出るのは、育成がある程度進んだ段階が多く、売れ残り馬や追加募集馬については重要な判断要素として使える。

「前進気勢がある」「走るのが好き」などは、募集馬の気力を示すプラス要素だし、「前向きさに欠ける」「相手なり」「ズルさがある」などは気力不足につながるマイナス要素である。「堂々としている」「動じない」「物おじしない」「大人」などは、募集馬の気の強さと独立心を示すプラス要素で、「臆病」「周りを気にする」「音に敏感」「子供っぽい」「幼い」「甘えがある」などは、気の弱さと依存心につながるマイナス要素である。

「物覚えが良い」「頭が良い」「走りに集中している」などは募集馬の賢さを示すプラス要素で、「言うことを聞かない」「馴致(じゅんち)に時間がかかる」「気が散っている」などは、賢さ不足につながるマイナス要素である。ただよく見かける「従順」とか「おとなしく言うことを聞く」という言葉は、「気の弱さ」につながるリスクもあるので、必ずしもプラス評価はしていない。人の言うことを良く理解できるが、馬に対しては気が強いのが気性的にはベターだと考えている。

なお、「放牧中群れの先頭に立っている」「群れのリーダーである」などというコメントもよく見かけ、このような馬は走る気力があっていいという考え方もある。だが、経験上このような馬は活躍することが少なかったし、同様のことをおっしゃるベテランの方もいたので、個人的には逆にマイナス評価している。のびのびした自然界で活躍できても、人工的な競馬に適応できるかはまた別問題だと考えている。「ガキ大将が試験でいい成績が取れるか?」と考えていただければ、分かりやすいかもしれない。

以上「歩き」「立位」「目つき・顔つき」「コメント」の4点から、募集馬の気性を総合的に判断し、「気力」「気の強さ」「賢さ」のいずれかが欠けていると感じる「気性難」の馬は様子を見た方がよい。

2022年度キャロットでは、スプリングゲイル21、バウンスシャッセ21、ブランシェクール21あたりに気性の良さを感じた。また、デアリングタクトも総合的な気性の良さを感じた1頭だ。