「長いようで短く、短いようで長いような…」と騎手人生を振り返った船橋の田中力騎手(41)。調教師転身が決まり、今日30日をもって23年7カ月の現役生活に幕を下ろす。7Rがラストライドの予定だ。

「ソフトボールや野球をやっていたけど、体が小さかった。違う道はないかなと調べたら、騎手という道があって」と中2から乗馬を始めたという。最初は家族に反対されたが、母が出川己代造調教師を知っていたことで、船橋の名伯楽に弟子入りした。師匠の勇退により、息子の出川克己調教師の下でデビュー。騎手服の「胴緑、袖桃・緑三本輪」はデザインこそ第3希望になったが、配色は偉大な兄弟子の石崎隆之騎手(現在は引退)のものをもらった。その兄弟子の騎乗馬も含め、数多くの調教をこなしてきた。

当初は調教師補佐の試験を受けていたが、調教師に変えた。「先生(現在の所属の岡林光浩調教師)の下で勉強していたら、調教師をやってもいいかなと思い始めて」。3回目の受験で合格した。「自分で攻め馬をして、昔はいかに競馬に乗せてもらえるか考えていたけど、自分が乗らなくてもいかに走らせられるかを考えるようになった。克己厩舎、岡林厩舎と所属したので、攻め馬でいい馬にもたくさん乗せてもらえたのは大きいですね」。その経験を糧に新たな道に進む。【牛山基康】