「人の縁」をいかにつなぐか-。馬にまつわる産業全体が労働力不足の問題に直面している。
今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、JRAのプロジェクト「UMAJOB」にも携わる太田尚樹記者が、人材確保への取り組みを取材した。
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今秋から競馬学校厩務員課程の募集要項が変更される。先週16日にJRAが発表して、修学費用の約65%減(約48万7000円→約17万円)は耳目を集めた。
競馬界でも人材確保は喫緊の課題だ。97年春期に10倍を超えた同課程の合格倍率は、19年春期には1・6倍まで落ち込み、定員割れも危ぶまれた。同年秋期から年齢制限(28歳)の撤廃など条件が緩和され、近年は2倍前後をキープしているが、楽観視はできない。
そんな中で、今春からJRAのプロジェクト「UMAJOB」に携わる機会を頂いた。馬に関わる職業を紹介する取り組みで、昨年9月にスタートした。僕の担当はトレセンで働くホースマンへの取材。実務内容ややりがいをたずね、撮影したインタビュー動画が公式SNSへ投稿される。
JRA総合企画部の塩瀬友樹さんは「まだ手探り」とした上で「知っていれば馬の仕事に就いていたかもしれない“もったいない人たち”を減らすのが大事」と力説する。SNSだけでなく、イベント「UMAJOBフェス」も実施。牧場や装蹄師、調教師会などの団体とも協力して、進路相談も受け付けた。都内で開催した5月24、25日には計3500人が来場したという。
すでに地方競馬や牧場では外国人が採用されている。しかし“助っ人”に頼るだけでは未来は開けない。他のスポーツと同じだろう。同部の高田明佳さんは「野球やサッカーのように、プロになるまでの道筋が、一般の方々に理解されて、整備もされているというのが理想」と未来図を描く。
個人で活動するホースマンもいる。友道厩舎でマカヒキなど幾多の名馬を手がける大江祐輔調教助手だ。牧場を営む家に生まれ、高校と大学で馬術に励み、欧州でも修業を積んだ。その経験と人脈を生かし、20年近く前から進学、就職、海外研修の相談や仲介を引き受けてきた。今は乗馬の大会に足を運ぶなどして就職のプレゼンテーションを催し、若者たちと向き合う。
「ここ5年ぐらいは、待っているだけでは相談がなくなってきて…。自分から動いて機会を設けています。お世話になった方たちへの恩返しのつもりです。馬業界といっても、JRA、牧場、乗馬クラブ、飼料会社…といろいろありますし、講演会やパンフレットだけでは拾いきれない。個別に話して、興味があれば少しでも視野を広げて、いい選択をしてもらえたら」
そのベクトルはJRAの目指す方向性とも重なる。ふと思い出したのは武豊騎手の言葉だ。「人がつないでくれた馬の縁、馬がつないでくれた人の縁」。それを絶やさないためにも、僕もできることを探したい。



