夏競馬はこれからが本番! 出走各馬は暑いなか奮闘しています。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は、大阪の明神理浩記者が栗東トレセンの競走馬診療所を訪ね、JRA獣医師にサラブレッドの汗と夏競馬にまつわる話をうかがいました。
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取材のきっかけは、厩舎で個々の馬を担当する方と話をした時。「水をかけても(馬の体が水を)はじくんだ」という話が出てきました。これはどういうことか。何とも面白そうな話です。まずは自分なりの仮説を立てました。馬の汗から出ている脂分が体をコーティングして水をはじいているのでは?
この仮説をJRAの獣医師にぶつけました。「馬の被毛は水をはじくようになっていて、皮膚に脂もついているんです」と話してくれました。水をはじいているのが脂であることは正解でした。「冬場は脂分によって水をはじくことで、馬体が冷えるのを防ぐことができます。また、夏場はこの脂分が、紫外線からの保護や乾燥防止の役割を果たしています」と言います。
全身が脂でコーティングされている意義はよくわかりました。でも、そのままでは汗が出てもはじかれて流れ落ちるだけですよね。
「汗をかくのは体温調節に重要なこと。馬の汗には界面活性作用を有する成分が混じっているんです。それのおかげで汗の水分が皮膚に残って、それが蒸発する時に熱を奪ってくれるから体が冷えるんですよ」
界面活性成分は日常で使う洗剤にも含まれています。台所洗剤をスポンジにかけてグニュッとすると泡が出てきますよね。それです。パドックでゼッケンや股のあたりに見かける泡、あれが界面活性成分を含んだ汗なんです。あの泡、実は体温調節に重要な役割を果たしているのです。
汗と脂分の絶妙な関係。サラブレッドは本当に進化した動物なんですね。
汗ついでに、馬券攻略本などで、パドックで汗をかいていない馬は夏負けしていると書かれてあることについても聞きました。
「汗をかかない馬はいないと思います。本当の意味で発汗がうまくいってなければ、熱中症より重い熱射病の可能性がありますが、その場合、そもそも動ける状態ではないため、レースに出走できません。むしろ暑さに慣れた結果、発汗量が減るという可能性も考えられます」
テレビでパドックを見た時、汗をかいていないように映る馬がいます。でも、ちゃんとかいてます。これまで、夏だからと発汗量を気にして馬券を買っていましたが、チェック項目が1つ減りました。
夏競馬は続きます。大事なのは見た目の元気や活気と、関係者の体調に関するコメントということです。この2つをもとに、夏競馬の馬券をプラスで乗り切りたいと思います。
(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)



