私が調教師をしていた頃は、芝のレースが“表”なら、ダートは“裏”という印象でした。それが今では、ダートもメジャーになってきたと感じます。先週はフォーエバーヤングがサウジCを勝って大きな話題となりましたし、園田のイグナイターのように地方から海外へ挑む馬も出てきています。
ウチの厩舎ではカネヒキリがダートでG1・7勝(Jpn1含む)と活躍してくれました。最初は芝を走らせましたが、ご存じの通り同期には同じ金子真人オーナーのディープインパクトがいましたし、3歳になって明らかにガッシリした体つきになってきたので、ダートに専念しました。ドバイワールドC(06年)でも4着と頑張ってくれましたし、今ならサウジアラビアや米国にも目を向けていたでしょう。
私もいろんな国へ遠征させてもらいましたが、パワーもスピードも必要な米国のダートで戦えるイメージはなかなか湧きませんでした。今では、それに適応できる日本馬が次々と出てきています。すでに馬づくりにおいて、日本は世界一に近い水準にあると思いますが、ダートや短距離などカテゴリーや個性に合わせた馬をつくれるまでレベルアップしてきた印象です。
たとえばダートに強い厩舎の調教を調査すれば、ダート適性を高めるためのトレーニング方法も見えてくるでしょう。すでに矢作先生あたりは、そんな調教法を確立しているのではないでしょうか。
さらには、世界中で薬物の規制が厳しくなっているという要因もあると思います。こうした流れは、もともと使用できる薬物の少なかった日本の馬へ有利に働くからです。
強い馬が海外へ行くことが当たり前になって、ハードルもすっかり低くなりました。オーナーへ遠征を提案するにしても、昔のように「えっ?」と驚かれるようなことはもうないでしょう。これからも、芝、ダートを問わず、世界中で活躍が見られると思います。
■能登半島地震「復興モデル」
角居元師が営む珠洲ホースパークは地元からの支援を得て、能登半島地震からの再生のシンボルを目指す。「議会決定はまだですが、珠洲市からホースパークに予算がついて『復興のモデルにしよう』という話が進んでいます。馬を使った復興のスピードも上がっていくと思いますし、明るい話題になりそうです」と期待していた。




