<大阪杯>◇2日=阪神◇G1◇芝2000メートル◇4歳上◇出走16頭

あの形になると強い。そうは言いますが、その形に持ち込めるかどうかが重要です。ジャックドールは平均的に速めのペースで逃げれば本当に強い馬です。昨年の金鯱賞を1分57秒2のコースレコードで逃げ切った時に、なんと強い馬だと思いました。今回は1分57秒4の大阪杯レコード。本当に強い競馬でした。

逃げ切って大阪杯を制したジャックドール(左)(撮影・白石智彦)
逃げ切って大阪杯を制したジャックドール(左)(撮影・白石智彦)

前後半1000メートルずつのラップは58秒9-58秒5。道中で緩むことのない、最も得意とする平均やや速めのペースでした。導いたのは鞍上・武豊騎手。そのペース配分もさすがですが、何より大きな勝因はスタートでしょう。おそらくいろんなシミュレーションを重ねた中で、他に逃げたい馬がいない、ジャックドールは逃げた方がいい、スタートさえ決めれば行く、そう考えていたと思います。全神経を集中した発馬を完璧に決めた時点で“勝負あった”という印象でした。

先頭で逃げるジャックドール(右)(撮影・白石智彦)
先頭で逃げるジャックドール(右)(撮影・白石智彦)

もう1つ、たたえたいのはオーナーと藤岡厩舎のこだわりです。ジャックドールはデビューから今回まで14戦すべてが芝2000メートルです。2歳の新馬戦から2000メートルを使い続けるのは珍しいことです。そのこだわり、信念が実を結んだことに拍手を送ります。

2着スターズオンアースは一番強い競馬をしています。上がりはダントツ。1、3、4着馬が先行勢という前に有利な流れのなか、4角9番手から追い上げました。ただ、ゴルフのカップと違って、競馬場のゴールはいつも同じです。鼻差でも先に駆け抜けた馬が勝ちです。今回は力を出し切らせた武豊ジャックの勝ちでした。とはいえ、スターズはたくましくなった馬体も目を引きましたし、今後の進路が楽しみです。

3着ダノンザキッドはレース当週にゲート再審査を受かったばかりでした。調整が難しい中、1週前までにしっかり仕上げた安田隆厩舎はさすがでした。(JRA元調教師)

ジャックドールで大阪杯を制して担当の石川奨厩務員と握手を交わす武豊騎手(撮影・白石智彦)
ジャックドールで大阪杯を制して担当の石川奨厩務員と握手を交わす武豊騎手(撮影・白石智彦)