3歳、古馬のトップが激突する英国のG1エクリプスS(サンダウン、芝1990メートル)が土曜(8日)に近づきました。


エクリプスSは英ダービーと、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSの間に位置する歴史ある重賞競走。過去の勝ち馬にはミルリーフ、サドラーズウェルズ、ダンシングブレーヴ、シーザスターズ、ゴールデンホーン、エネイブルなど欧州名馬がキラ星のごとく名を連ね、昨年の覇者ヴァデニはその後の凱旋門賞でアルピニスタの2着に食い下がりました。


レースの負担重量は4歳以上の牡馬・せん馬が9ストーン7ポンド(約60・3キロ)、3歳の牡馬・せん馬は8ストーン11ポンド(約55・8キロ)。牝馬はそれぞれ3ポンド減(約1・4キロ)。古馬に厳しく3歳馬に有利な設定です。ここ10年は5歳馬が4勝、4歳馬1勝。3歳馬は15年のゴールデンホーン、16年のホークビル、19年のロアリングライオン、20年のセントマークスバシリカ、そして昨年のヴァデニで5勝。ゴールデンホーン(英ダービー優勝)、ロアリングライオン(愛チャンピオンSなどG1・4勝)、セントマークスバシリカ(仏2000ギニー、仏ダービー)の3頭は、後に全欧年度代表馬に選出されています。


今年は4頭立てになりました。見どころは3歳を代表して参戦するパディントン(牡、父シユーニ、A・オブライエン厩舎)と、4歳牝馬エミリーアップジョン(父シーザスターズ、J&T・ゴスデン厩舎)の激突でしょう。


◆エクリプスS


枠番(馬番)馬名 性齢 騎手 前売りオッズ

1(1)ドバイオナー せん5 T・マーカンド 3・1倍


2(4)パディントン 牡3 R・ムーア 3・25倍


3(3)エリミーアップジョン 牝4 W・ビュイック 13倍


4(2)ウエストウインドブローズ せん4 J・スペンサー 27倍


1番人気に支持されているパディントンはここまで6戦5勝で、今年に入って4連勝中。5月27日のG1愛2000ギニー優勝から臨んだロイヤルアスコットのG1セントジェームズパレスSでは、英2000ギニー優勝のシャルディーンを2着に下しました。


僅差の2番人気で臨むエミリーアップジョンは、昨年のG1英オークスがチューズデーの短頭差2着。キングジョージで不可解な大敗(パイルドライヴァーの6着)を喫しましたが、立て直して臨んだG1英チャンピオンズフィリーズ&メアズSを3馬身差で快勝。今季初戦となった5月のG1コロネーションCでは、昨年のG1愛ダービー馬で、G1ドバイシーマクラシックではイクイノックスの2着したウェストオーバーを2着に退けて最強牝馬をアピールしています。


パディントンのようにマイル戦までの経験しかない馬が、エクリプスSに勝てば、00年のジャイアンツコーズウェイ以来、実に23年ぶりの快挙となります。前述の通り、重量有利が土台にありますが、ブックメイカーの1番人気はその実力を認めて、ということなのでしょう。

対するエミリーアップジョンにとっても牝馬の優勝が、ここ30年で2頭(92年クーヨンガー、19年エネイブル)だけ! というシビアなデータが気になります。この壁を突破出来れば…。

この他には前々走、オーストラリアでG1クイーンエリザベスSに優勝したドバイオナー、前々走、G2ラクープ優勝のウエストウインドブローズが参戦します。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは23年7月7日現在

今週のラッキーカラーは“グリーン”
今週のラッキーカラーは“グリーン”