英国の平地競走が3月30日のドンカスター競馬場開催で幕を開けました。欧州最初のクラシックとなるG1英2000ギニーは5月4日にニューマーケット競馬場の直線芝1600メートルで開催されます。ここではその有力馬を紹介しましょう。

2024年の欧州牡馬クラシック戦線はエイダン・オブライエン厩舎のシティオブトロイ(牡3、父ジャスティファイ)が中心になって展開されそうです。

クールモアシンジケートが所有するシティオブトロイは昨年7月にカラ競馬場の芝1400メートル戦でデビュー。これを制して臨んだ英国のG2スーパーレイティヴステークス(ニューマーケット、芝1400メートル)で重賞初制覇を飾りました。次に予定されていたG1ヴィンセントオブライエン・ナショナルステークスは馬場が悪化したため回避しましたが、10月のG1デューハーストステークス(ニューマーケット、芝1400メートル)は2着に3馬身半差をつけて完勝。3連勝でシーズンを終了、カルティエ賞最優秀2歳牡馬に選ばれて欧州2歳馬ランキングでもトップ(レーティング125)に立ちました。父のジャスティファイは2019年の米3冠馬。母のトゥギャザーフォーエヴァー(その父ガリレオ)はG1フィリーズマイルの勝ち馬で、伯父に種牡馬になったロードシャナキル、叔母にはG1英オークス優勝のフォーエヴァートゥギャザーがいます。

ブックメーカーによる前売りオッズは英2000ギニーが単勝1・7倍という断然の1番人気、英ダービーでも2・8倍の1番人気に推されていて他を大きく引き離しています。

シティオブトロイに立ち向かうのは以下の馬たちです。

ロザリオン(牡3、R・ハノン厩舎)は欧州スプリンターG1に4勝を挙げたブルーポイント(その父シャマーダル)の初年度産駒です。2歳時4戦3勝。デビューから2連勝で挑んだ9月のG2シャンペンステークスは重馬場に持ち味が削がれて3着に敗れましたが、フランス遠征となったG1ジャンリュックラガルデール賞(芝1400メートル、パリロンシャン)を差し切って優勝しています。

ゴーストライター(牡3、父インヴィンシブルスピリット、C・コックス厩舎)は2歳時3戦3勝。G2ロイヤルロッジステークス(芝1600メートル、ニューマーケット)の勝ち馬です。近親のザフォニック(その父ゴーンウエスト)は1993年の英2000ギニーを制しています。

アンシェントウイズダム(牡3、父ドバウィ、C・アップルビー厩舎)はゴドルフィン所有のドバウィ産駒です。2歳時に5戦4勝。10月のG3オータムンステークス(芝1600メートル、ニューマーケット)を3馬身4分の3差で勝って重賞初制覇、その後、英ダービーの登龍門として知られるG1フューチュリティステークス(芝1600メートル、ドンカスター)も快勝。重馬場の重賞を連勝しています。

ナイトライダー(牡3、父ダークエンジェル、K・バーク厩舎)はオールウェザートラックで2戦2勝。昨年12月にサウスウェル競馬場の1400メートル戦でデビューして9馬身差圧勝、今シーズン初戦も同じ舞台で2着馬に5馬身差をつけています。

ノータブルスピーチ(牡3、父ドバウィ、C・アップルビー厩舎)もアンシェントウイズダムと同じゴドルフィンのドバウィ産駒です。こちらは今年1月にデビュー。ウィリアム・ビュイック騎手とのコンビでケンプトン競馬場のオールウェザー1600メートル戦を3戦して、すべて1番人気に応えています。ナイトライダーとノータブルスピーチのように芝未経験馬が勝てば史上初の快挙です。

シティオブトロイと同馬主、同厩舎のヘンリーロングフェロー(牡3、父ドバウィ、愛A・オブライエン厩舎)は名牝として鳴らし、2016年のエクリプス賞全欧年度代表馬に輝いたマインディング(その父ガリレオ)の3番仔です。2歳時は3戦3勝と期待に違わぬ活躍。デビュー戦、2戦目のG2フューチュリティステークス(芝1400メートル、カラ)、そして3戦目のG1ヴィンセント・オブライエン・ナショナルステークス(芝1400メートル、カラ)まで危なげない競馬を続けています。

英ダービーではシティオブトロイに次ぐ2番人気になっていますが、陣営は英2000ギニーをシティオブトロイに任せ、この馬には5月12日のG1仏2000ギニー(芝1600メートル、パリロンシャン)を狙わせるようです。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績等は2024年4月18日現在