1番人気のリバティアイランド(中内田)が抜群の手応えで抜け出し、2歳女王に輝いた。勝ち時計は1分33秒1。ダントツ人気に支持された前走アルテミスSで2着に敗れた経験を糧に、直線の真ん中を堂々と2馬身半、突き抜けた。

2~5着馬が全て2桁人気という波乱の中、1頭だけ次元の違う走りを披露。来春への期待を膨らませた。

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終わってみれば、リバティアイランドの1強だった。強く冷たい風がターフを揺らす師走の仁川。鮮やかに直線を伸びた女王の走りに、誰もが寒さを忘れた。

新馬戦から偉才の片りんをのぞかせた。デビュー戦でJRA史上最速タイの上がり3ハロン31秒4の末脚を披露。その強さをG1で改めて証明した。道中は中団の外を追走し、リズムよく直線へ。2発の合図で抜け出してからは、他馬はなすすべがなかった。抜群の手応えに川田騎手も「負けることはないなと思いました。あとは無事にゴールまで連れて行くだけ」と勝利を確信。余力を残したまま、2馬身半差でゴールした。

前走の惜敗がこの勝利につながった。単勝1・4倍の1番人気を背負ったアルテミスSでは、直線で前が壁になり、追い出しを待たされた。最後は豪脚で追い上げたが、首差の2着。ただ、馬群の中で我慢したことが、今回の折り合いとリズムのいい走りにつながったと中内田師は分析する。前回の経験を必ず生かすとレースに臨んだ鞍上も「負けてしまったのは望ましくないですけど、あの競馬があったからこそこのいい走りだったと思います」。経験を糧にして、雪辱を果たした。

師にとって阪神JF制覇は18年ダノンファンタジー以来4年ぶり。今年は3歳馬のアートハウスがローズSを、セリフォスがマイルCSを制するなど、若駒の勢いが著しい。先輩馬の背中を追うリバティアイランドも出世街道を駆け上がっているが、まだまだ成長途上。「精神的にも2歳牝馬らしいし、成長余地がある体。もう1つ、2つ成長してくれたら」と師はこれからの伸びしろに期待する。

未完成の心身に秘める才能が、充実期を迎えた日には…。来年のクラシック戦線の主役を担っている姿が、ありありと脳裏に浮かぶ。【下村琴葉】

◆リバティアイランド ▽父 ドゥラメンテ▽母 ヤンキーローズ(オールアメリカン)▽牝2▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 中内田充正(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦2勝▽総収得賞金 8543万2000円▽馬名の由来 米、アッパーニューヨーク湾の自由の女神像が建っている島