偉大なる祖父&父に続け! 3番人気サトノグランツ(牡、友道)がゴール前で差し切り、秋初戦を飾った。5月京都新聞杯以来の重賞2勝目で、勝ち時計の2分23秒5はレコード。祖父ディープインパクト、父サトノダイヤモンドとのレース史上初の父子3代制覇も達成した。

祖父&父も制した牡馬クラシック最終戦、菊花賞(G1、芝3000メートル、10月22日=京都)へ、大きな弾みをつけた。

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一瞬だった。最後まで前で競り合うファントムシーフとサヴォーナを、サトノグランツが一気に飲み込んだ。友道師の「最後の2完歩くらいで声が出ましたね」という言葉が、その情景を表している。

道中は追走に少し苦しんでいた。川田騎手は「前を追いかけながら、なんとかついて行くのに必死だった」と振り返る。中団の内ラチ沿いを運んで、直線では馬群の中からラストスパート。ジリジリ伸びるも、なかなか前との差が詰まらない。だが、残り100メートルになって、鞍上はサヴォーナとロードデルレイの間にできたわずかなスペースへと導く。そこから、抜群の伸び脚を発揮し、前にいた4頭を抜き去った。わずか「4秒」の大逆転劇だった。

この日、9戦5勝と絶好調だった川田騎手。巧みな手綱さばきで、レコード決着を制してみせた。「よく届いてくれました。全体時計が速い中、そういう競馬は得意ではないはずなんですけど、勝ち切れたのは春からの成長分だと思います。1戦ごとに背中もよくなってきている」。リーディングジョッキーの冷静なリードが、成長したサトノグランツの勝負根性を引き立てた。

父サトノダイヤモンドとの父子制覇を果たしても、まだ通過点だ。7年前の父は、菊花賞も制した。その背中に追いつく道は、もう目の前に開かれている。「(馬体重は)プラス2キロでも実が入ってきた。上がりも速かったし、春より進化してるね。お父さんみたいになればいいなと」と友道師。その豪脚に、より一層の磨きをかけ、菊の舞台にいざ挑む。【下村琴葉】

◆サトノグランツ ▽父 サトノダイヤモンド▽母 チェリーコレクト(オラトリオ)▽牡3▽馬主 里見治▽調教師 友道康夫(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 7戦4勝▽総収得賞金 1億2806万5000円▽主な勝ち鞍 23年京都新聞杯(G2)▽馬名の由来 冠名+輝き(独)