大阪杯は予想が難しい。いってもたってもいられず、スマホを握りました。どうしても気になる1頭がいて…。28日午後、栗東滞在中の杉原誠人騎手(31)に電話取材。外出先だったのに、快く応じてくれて本当に感謝です。

聞きたかったのはもちろん、エピファニー(牡5、宮田)のことです。前走の小倉大賞典で重賞初制覇。何度も◎を打ち、前走も信じて◎を打ちました。当時は1週前の金曜に追い切りを行い、美浦から栗東へ。レース当週は杉原騎手がつきっきりで調教をつけていました。

気難しくて、コントロールに他馬より一層と気を使わねばならない馬。2走前中山金杯は出遅れ→位置取り挽回で加速を促したことで、制御が利かずに11着に敗れていました。だからこそ、人馬のコンタクトが密に取れる鞍上に白羽の矢が立ったのです。

騎乗依頼は1月中旬。当時はうれしさと異なる小さな感情も抱きました。「声をかけていただいて、うれしかったです。難しい馬が回ってきたなとも思いましたね」と杉原騎手。一発回答でチャンスに応え、自らの手綱でG1挑戦をものにしたのです。

杉原騎手は「(前走は)僕が想像していたより流れに乗れました。つきっきりで調教ができたからこそ、いろんな人に話を聞けたりして、イメージして乗れたのかなと思います。うれしかったですよ。いろんな人の思いに応えられたって、ゴールして(検量室前に)引き揚げてきて思いました」と重賞Vを振り返ります。

今回も前走を踏襲し、全く同じ日取りで栗東入り。そして、同じく杉原騎手が連日、調教にまたがっています。大阪杯はコンビ2戦目。中間は違いも感じています。「馬の状態はいいと思います。コンスタントに使われているので、いつも気になる緩みがない。獣医師さんも状態はいいと言ってくれたみたいです」。前向きさが増している点を懸念材料に挙げていましたが、自分としてはそこをカバーするのが連日深める人馬の絆だと信じています。

朝の調教が終われば、“チーム杉原”が癒やしになります。夫人と3人の子どもも前走に続いて、栗東へ。春休みのタイミングも重なり、あちらでも家族の時間を過ごせているようです。「昨日、天気が良くて伊勢神宮に行ってきたんですよ。パワーをいただいた感じがしています。競馬は瞬発力勝負にならないといいな。1、2角の入りを我慢して、向正面、3角まで…。いかにリズム良く、けんかせずに行けるかですね。持っているモノは相当すごい。折り合いとか気性面で減点みたいな馬なので、自分との戦いですね」。

背中越しに感じる素質は、名門・藤沢和雄厩舎在籍時(22年3月定年解散)にまたがった多くの名馬とも遜色ないといいます。己に打ち勝てば、大仕事をやってのけてくれるかもしれません。【松田直樹】