日本初から世界初へ。“新名手”坂井瑠星騎手(27=矢作)が欧米制圧を狙う。
今週10月6日の凱旋門賞(G1、芝2400メートル、仏パリロンシャン)に日本代表シンエンペラー(牡3、矢作)で日本競馬界の悲願に挑む。11月2日のBCクラシック(G1、ダート2000メートル、米デルマー)には僚馬フォーエバーヤング(牡3)でチャレンジ。芝&ダートの頂上決戦ダブル制覇を達成すれば世界2人目で、同一年なら前人未到の快挙となる。坂井騎手の思いに迫った。【取材・構成=太田尚樹】
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27歳の“新名手”坂井瑠星が世界の競馬史を塗り替える。凱旋門賞のシンエンペラー、BCクラシックのフォーエバーヤング。いよいよ欧米制圧に挑む1カ月が始まる。芝とダートの最強馬決定戦をともに制した騎手は、あのデットーリだけ。同一年なら世界初となる快挙だ。クールな表情と口調に熱き想いがにじむ。
「ワクワクと同時に、責任も感じています。こういうビッグレースに毎回名前がある騎手になるのが目標なので、本当にありがたいことです」
そんな「責任」を感じるのは、確かな勝算があるからに他ならない。まずは今週の欧州最高峰レース。20年の覇者ソットサスの全弟は、前哨戦の愛チャンピオンSで3着と健闘した。しかも、誰もが良化途上と感じる状態で。欧米でG1計6勝のオーギュストロダンとは4分の3馬身差だった。
「ここを使って良くなってくれるかなと思っていたんですが、想像以上の走りでした。うれしい誤算でしたね。もちろん勝ちにはいきましたけど(当時の)状態を考えたら、次に向けていい内容で走れたらと思っていましたので」
幼き日の夢が現実味を帯びてきた。大井の英光調教師(元騎手)を父に持ち、小学校時代には南関東所属の全競走馬を暗記していたという。自他ともに認める「競馬オタク」から、日本のホープになった。今年だけで海外6カ国目となる大舞台は、かつてゲームの画面で見ていた頂上決戦だ。
「僕にとってというか、ホースマンの夢なので。ビッグレースはどれも勝ちたいですけど、周りからも言われますし、やっぱり特別なレースだと特に思います。勝ったら日本人初になるので、そこはとりたいです。(師匠の)矢作先生の夢でもありますから」
10月2日にはフォーエバーヤングの壮行戦ジャパンダートクラシック(Jpn1、ダート2000メートル、大井)も控える。そのしなやかな両腕は、国内外から熱視線を集める。目指すは競馬界の「ヤング・エンペラー」だ。

